一夜1 ページ20
目が覚めると、ふかふかとした柔らかい感触。確か昨日は夕食を食べたあと、ヴィクトルに半強制的に酒を飲まされて、疲れも相まってか睡魔に襲われ、そのまま畳で寝てしまったと記憶している。今日一日ろくに働かなくてごめん、寛子さん。そんな事を思いながらどうしても瞼をこじ開けられなかったのだ。それなのに何故、柔らかい感触がするのだろう。
ぼうっと目を滑らせると、自分の部屋の箪笥が見えた。いつの間に自室に戻って来たのだろう。
春先とはいえまだ冷える、昨日も雪が降っていたから余計に。ふるりと身体を震わせて掛け布団にもぞもぞ潜ろうとした所で、身体が重い事に気が付いた。
何かが身体に巻き付いている。
「………」
嫌な予感しかしない。
そっと後ろを振り返れば、さらりと銀髪が流れるやけに顔の整った男が、すやすやと眠っているのが見えた。
「……ヴィクトル」
知り合って一日目だというのに予想ができてしまった。そしてその予想通りの展開に溜息が出る。いつの間に布団に入り込んだのか、己の背中にくっついて腹に腕を回して眠るヴィクトルの姿。
昨日からやたらと構ってくるが、本当にペット感覚で子犬のようだと思われているのだろうか。俺はマッカチンではない。
「ヴィクトル、離してください」
「ん……起きたのかい、A……」
腹に回された腕をトントンと叩くと、もぞりとヴィクトルが顔をあげた。寝起きは良いみたいだ。寝ぼけ眼でこちらをじっと見つめてくる。
「何でヴィクトルが俺の布団に居るんですか」
「おはよう、A」
会話が噛み合っていない。
目にかかる前髪が少し乱れていて、気怠げな様がヴィクトルの色気をより一層引き立てている。そしてその表情のまま、ヴィクトルは腹に回していた腕にぐっと力を込めて、こちらの身体を反転させた。
「何ですか……」
面と向かってはじめて、ヴィクトルが上半身に何も纏っていないということに気が付いた。白く艶のある肌が目に痛い。
向かいあって寝そべりながら、そっと頬を撫でられ、そのまま耳下、首筋まで手が滑っていく。項を撫で上げられた後に後頭部を優しく掴まれて、グッとヴィクトルの顔が近付いてきた。
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倉科(プロフ) - Kagaさん» わざわざ返信ありがとうございます…!!続編も応援しているので、頑張って下さい!※長引かせると申し訳ないので返信は不要です。 (2016年12月5日 11時) (
レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - びわさん» びわさんはじめまして、コメントありがとうございます！何度も読み返して頂けているなんて光栄です(;_;)少しずつヴィクトルに変えられていく彼や周りの人間、ヴィクトル本人の動きをこれからも楽しみにして頂けると嬉しいです^^* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - 倉科さん» 倉科さんはじめまして、コメントありがとうございます！描写は細かく頭で映像を浮かべやすいように、と心掛けていたので嬉しいです(;_;)これからもまだまだ続きますので、またお読み頂けると嬉しいです！´`* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
びわ - 他の小説にはない豊かな表現がとても好きで何度も読み返しています。主人公の心情が動いていくさま、過去のことなど話の構成が面白いです。これからも応援しております。 (2016年12月5日 2時) (レス) id: be5139214a (このIDを非表示/違反報告)
倉科(プロフ) - コメント失礼します。このサイトではあまり見かけないとても分かりやすく鮮やかな描写が素敵で一気に読んでしましました…ｗ凄く引き込まれてまだまだ続きが気になります。更新を日頃の楽しみにしつつ読ませていただきますのでこれからも頑張って下さい。 (2016年12月4日 23時) (レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kaga | 作者ホームページ：https://twitter.com/kaga_yoi
作成日時：2016年11月6日 21時
