寝坊助3 ページ19
「ところで勇利、Aの部屋はどこだい？」
ある程度荷物を運び入れ、息を切らしてしゃがみこむ勇利に、ヴィクトルの中では当然であるスキンシップを取った後、思い切り後ずさった勇利を見て首を傾げる。人差し指を口横に当てて可愛いらしい仕草ではあるが、彼は荷物のほとんどを勇利に運ばせた少しS気のある男だ。というより自分ではやらないあたり、セレブ故なのかもしれない。
確かに、ヴィクトルがダンボールを運ぶ図なんてなかなか想像ができない。
「廊下出た突き当たりです、僕の部屋の対面というか」
「OK、ありがとう」
それだけを確認すると、ヴィクトルは荷解きをするでもなく、ひらひらと手を振って背中を向ける。
「あ、に、荷解き手伝わなくて大丈夫ですか…？」
「また明日で大丈夫、今日はAの部屋で一緒に寝る事にするよ。まずは寝坊助なお姫様を部屋に運んであげないとね」
「えっ、一緒にって……Aの部屋で！？」
さも当然のように言ってのけたヴィクトルに、勇利はまたも混乱する。何で一緒に？という疑問が表情に現れている。それに対し、階段を降りようとしたヴィクトルが振り返り、妖艶に笑った。
「野暮だなぁ勇利、オトコノコなら、わかるよね？」
目を細めたヴィクトルの表情とその言葉に勇利は真っ赤になり、思考が止まってしまう。やっぱり二人はそういう関係なんだろうか。そんな事が頭の中でぐるぐると駆け巡る。
しかしいつ知り合ったのだろう。Aが長谷津に帰って来たのは自分が帰国する数日前だったと聞いているし、その間ヴィクトルは各国に飛びまわっていた筈だ。昔からの知り合いだったのだろうか。
「駄目だわからない…やめよう」
勇利は深く考える事を止め、自室へと戻っていった。
「マッカチン、ありがとう」
一階へと降りたヴィクトルは、Aの腕からそっと抜け出したマッカチンを撫でて、そっとAを抱き上げた。自分よりも小さく筋肉もあまり無さそうなAはやはり軽くて、けれど身体付きは男のそれであるので、何だか不思議な心地だった。
女性を抱き上げた事はあるけれど、こうした抱き方で男性を抱き上げた事が今まであっただろうか。
ヴィクトルはAを優しく抱いたまま、ゆっくりと階段を上っていった。
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倉科(プロフ) - Kagaさん» わざわざ返信ありがとうございます…!!続編も応援しているので、頑張って下さい!※長引かせると申し訳ないので返信は不要です。 (2016年12月5日 11時) (
レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - びわさん» びわさんはじめまして、コメントありがとうございます！何度も読み返して頂けているなんて光栄です(;_;)少しずつヴィクトルに変えられていく彼や周りの人間、ヴィクトル本人の動きをこれからも楽しみにして頂けると嬉しいです^^* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - 倉科さん» 倉科さんはじめまして、コメントありがとうございます！描写は細かく頭で映像を浮かべやすいように、と心掛けていたので嬉しいです(;_;)これからもまだまだ続きますので、またお読み頂けると嬉しいです！´`* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
びわ - 他の小説にはない豊かな表現がとても好きで何度も読み返しています。主人公の心情が動いていくさま、過去のことなど話の構成が面白いです。これからも応援しております。 (2016年12月5日 2時) (レス) id: be5139214a (このIDを非表示/違反報告)
倉科(プロフ) - コメント失礼します。このサイトではあまり見かけないとても分かりやすく鮮やかな描写が素敵で一気に読んでしましました…ｗ凄く引き込まれてまだまだ続きが気になります。更新を日頃の楽しみにしつつ読ませていただきますのでこれからも頑張って下さい。 (2016年12月4日 23時) (レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kaga | 作者ホームページ：https://twitter.com/kaga_yoi
作成日時：2016年11月6日 21時
