寝坊助2 ページ18
ヴィクトルのリクエストで、勇利の好物であるカツ丼が提供される。
目の前に輝くカツ丼に、同じように目を輝かせて一口カツにかじりつくと、ロシア語で美味しいと声を上げてから習得した箸捌きでガツガツとそれを平らげていく。見れば見る程氷上とは違うイメージだが、間違いなく彼はヴィクトル・ニキフォロフなのだ。
「それまでカツ丼禁止だよ！ 子豚ちゃん？」
……例え笑顔で人が刺せそうな雰囲気を漂わせていたとしても。
ヴィクトルの発言にふらふらと頭を抱えていると、真利の間延びした声が響いた。
「ちょっとー、荷物が邪魔なんですけど」
どうやらヴィクトルがロシアから持ってきた荷物が大量に運び込まれたようだ。完全に日本に滞在する気満々であり、勝生家で暮らすつもりらしい。
「俺の泊まる部屋に運んでくれないか？」
ヴィクトルが笑顔でそれを肯定すると、勇利がやれやれと荷物を運ぶ為に真利の元へ向かう。
「男二人居りゃ運べんでしょ、Aも居たら三人だし、頑張って」
真利は運ぶ気が無いようで、ひらひらと手を振り去っていってしまった。見れば大量のダンボール。これだけの量を運ぶとなるとかなり重労働になるし、その上空いている部屋に検討を付けると、それは二階だ。二階までこの荷物を運ぶのは骨が折れる。一体何往復すれば良いのだろうか。確かにAにも手伝って欲しいところだ。
「A〜、寝坊助だなぁ」
ヴィクトルも同じ事を思ったのか、Aの横に手を着いて起こそうとしていた。しかし先程から何をするにも距離が近い。Aの顔を挟むように腕を着いて「起きて」と耳元まで屈み、囁いている。
しかしAは「んー」と唸るだけで起きそうも無い。腕の中のマッカチンが「クゥン」と小さく鳴いて、その声を聞いたヴィクトルがAの頬をそっと撫でた。
「……起きないから勇利、頑張って！」
撫でてすぐに、語尾に星がつきそうな笑顔でヴィクトルが振り返る。
その言葉に、まさかほとんどの荷物を自分が運ぶことになるとは思っていなかった勇利は口端をひきつらせた。
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倉科(プロフ) - Kagaさん» わざわざ返信ありがとうございます…!!続編も応援しているので、頑張って下さい!※長引かせると申し訳ないので返信は不要です。 (2016年12月5日 11時) (
レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - びわさん» びわさんはじめまして、コメントありがとうございます！何度も読み返して頂けているなんて光栄です(;_;)少しずつヴィクトルに変えられていく彼や周りの人間、ヴィクトル本人の動きをこれからも楽しみにして頂けると嬉しいです^^* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - 倉科さん» 倉科さんはじめまして、コメントありがとうございます！描写は細かく頭で映像を浮かべやすいように、と心掛けていたので嬉しいです(;_;)これからもまだまだ続きますので、またお読み頂けると嬉しいです！´`* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
びわ - 他の小説にはない豊かな表現がとても好きで何度も読み返しています。主人公の心情が動いていくさま、過去のことなど話の構成が面白いです。これからも応援しております。 (2016年12月5日 2時) (レス) id: be5139214a (このIDを非表示/違反報告)
倉科(プロフ) - コメント失礼します。このサイトではあまり見かけないとても分かりやすく鮮やかな描写が素敵で一気に読んでしましました…ｗ凄く引き込まれてまだまだ続きが気になります。更新を日頃の楽しみにしつつ読ませていただきますのでこれからも頑張って下さい。 (2016年12月4日 23時) (レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kaga | 作者ホームページ：https://twitter.com/kaga_yoi
作成日時：2016年11月6日 21時
