寝坊助1 ページ17
「勇利ー！ なんで電話出ないのよ！」
突然ガラリと戸を開けてやってきたミナコ。どうしたのかと問い掛ける寛子に返事を返しながら、そのままの勢いで寛子へと向かっていった。
「ヴィクトルが勇利のコーチになるって噂ーっ！」
突然の事で混乱し取り乱している様子だが、対する寛子はいつもの和やかな顔で「ヴィっちゃん、家におらすよ」と笑う。
それだけでも事態を飲み込めないのに、広間へ向かえば館内着を着て眠るヴィクトルの姿が。更に衝撃なのはその腕の中だ。
すやすやと気持ち良さそうに眠りにつくAの姿があった。その腕には更にマッカチンが抱かれている。ヴィクトルはAの髪に鼻先を埋めているし、何だか見てはいけないものを見てしまった気分だ。
「…勇利」
「…」
向かいに居る勇利は未だ放心状態のままで、正座をして固まっている。
「勇利！」
「ハッ！」
ミナコがもう一度問い掛けようやく反応を返した勇利だったが、目の前の光景にまたくらりと目眩が起きそうになる。
「なんでヴィクトルが、か、館内着着て寝てんの！？ しかもA抱き着かれてるけどどういう状況よこれ！」
「温泉入ってご飯食べたら寝ちゃって…Aが先に寝ちゃったんだけど、ヴィクトルがそれ見てAを抱き抱えて…」
「何、そういう関係なのこの二人…」
「え、いや、多分違うと思っ…って、そういう関係って、え！？」
わたわたと焦り始める勇利に、ミナコはロシアで今回の事がニュースになっているという事、ヴィクトルが日本にやってきた理由を伝える。
まさか自分があのヴィクトルを引き寄せただなんて、信じられない。自分が国を越えさせるほどの感情をヴィクトルに与えただなんて。
「へっくしゅ」
熱くなる胸を押さえていると、不意にヴィクトルが可愛らしいくしゃみをした。のそりと身体を起こし、Aの寝顔を見て微笑んだ後、そのこめかみに優しくキスを一つ落としてからこちらへ振り返り、その刺激に「んー」と小さく唸り声をあげたAの髪をさらりと撫でた。
そのやりとりはまるで恋人のようで、見ているこちらが恥ずかしくなる。勇利は先程よりも更に顔を赤くした。
「お腹すいた、hungry」
「まだ食べるの」
「えっと、ヴィクトルは何が食べたい？」
「んー…」
チラリとAを見たヴィクトルにすかさずミナコが「それ以外によ」と釘を刺す。
これだけ近くで話していても、Aはちっとも起きない。
貞操観念とか、大丈夫なんだろうか。
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倉科(プロフ) - Kagaさん» わざわざ返信ありがとうございます…!!続編も応援しているので、頑張って下さい!※長引かせると申し訳ないので返信は不要です。 (2016年12月5日 11時) (
レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - びわさん» びわさんはじめまして、コメントありがとうございます！何度も読み返して頂けているなんて光栄です(;_;)少しずつヴィクトルに変えられていく彼や周りの人間、ヴィクトル本人の動きをこれからも楽しみにして頂けると嬉しいです^^* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - 倉科さん» 倉科さんはじめまして、コメントありがとうございます！描写は細かく頭で映像を浮かべやすいように、と心掛けていたので嬉しいです(;_;)これからもまだまだ続きますので、またお読み頂けると嬉しいです！´`* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
びわ - 他の小説にはない豊かな表現がとても好きで何度も読み返しています。主人公の心情が動いていくさま、過去のことなど話の構成が面白いです。これからも応援しております。 (2016年12月5日 2時) (レス) id: be5139214a (このIDを非表示/違反報告)
倉科(プロフ) - コメント失礼します。このサイトではあまり見かけないとても分かりやすく鮮やかな描写が素敵で一気に読んでしましました…ｗ凄く引き込まれてまだまだ続きが気になります。更新を日頃の楽しみにしつつ読ませていただきますのでこれからも頑張って下さい。 (2016年12月4日 23時) (レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kaga | 作者ホームページ：https://twitter.com/kaga_yoi
作成日時：2016年11月6日 21時
