引力1 ページ14
勇利が露天風呂に現れて、ヴィクトルがコーチ宣言をしている間にこっそりと上がってしまおうと思ったのに、ヴィクトルはそれに目敏く気付いて腰に巻き付いてきた。
「もう上がるの？ ねぇ結局Aは勇利の兄弟？ 此処に住んでいるの？」
出会った時も思ったけれど、ヴィクトルは疑問に思った事を黙っていられないたちなのだろうか。よくもまぁこんなにポンポン質問が出てくるものだ。
「上がる。幼馴染。此処に住んでる」
「なんでそんなカタコトなのさ、身体拭いてあげるよ、一緒に出よう」
一緒に出てどうする。子供の連れションかよ。口が悪いがそんなことをちらりと思った。背後のヴィクトルを振り返ると、にっこりと微笑んでいる。その顔に向かって口を開いた。
「……Это выглядит как ребенок」
「Wow,Интересно, если ребенок такая вещь」
ヴィクトルは俺の言葉に口笛を吹いて、いやらしい手つきで腹を撫でてくる。それにカチンときて、手を思い切り振り払い暴言を吐いた。
「バーーーーカ」
ドスドスと歩きピシャンと戸を閉める。勇利の横を通り過ぎる時、勇利の顔は困惑に満ちていた。あんな不審者と二人きりにしてごめん勇利。でも知り合いなんだったら良いよな。数々のセクハラに憤り、鼻息を荒くし身体を拭いた。
雪の冷たさにやられた身体は、もうすっかり温まっていた。それは単純に温泉のおかげであり、あのセクハラ魔人のおかげでは無い。断じて。
「今の……ロシア語……？ A、喋れたんだ……」
「発音ぐっちゃぐちゃだったけどねぇ、たどたどしくて逆に可愛いなぁ、もう」
「そ、それで、なんて会話を……？」
「子供みたいだ、ってさ。子供はこんな事しないよってお腹撫でたら怒っちゃった」
「……あの、ヴィクトルはAとどういう関係で……」
「これから作るんだよ、関係」
唇に己の人差し指を当ててウインクをするヴィクトルに、勇利は「はぁ」という気の抜けた返事しか出来なかった。
憧れの選手が実家に居た挙句、幼馴染と何やら仲睦まじ気だったのでただただ混乱している様子だった。裸であんなにベタベタくっつくという事は、二人は元々知り合いだったのだろうか。
「お腹空いたな」
「あっ、ご、ご飯用意します！」
「ありがとう、Aとも食べたいなあ」
やっぱり、親しげだし、知り合いなのかな。
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倉科(プロフ) - Kagaさん» わざわざ返信ありがとうございます…!!続編も応援しているので、頑張って下さい!※長引かせると申し訳ないので返信は不要です。 (2016年12月5日 11時) (
レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - びわさん» びわさんはじめまして、コメントありがとうございます！何度も読み返して頂けているなんて光栄です(;_;)少しずつヴィクトルに変えられていく彼や周りの人間、ヴィクトル本人の動きをこれからも楽しみにして頂けると嬉しいです^^* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
Kaga(プロフ) - 倉科さん» 倉科さんはじめまして、コメントありがとうございます！描写は細かく頭で映像を浮かべやすいように、と心掛けていたので嬉しいです(;_;)これからもまだまだ続きますので、またお読み頂けると嬉しいです！´`* (2016年12月5日 8時) (レス) id: c0624adda5 (このIDを非表示/違反報告)
びわ - 他の小説にはない豊かな表現がとても好きで何度も読み返しています。主人公の心情が動いていくさま、過去のことなど話の構成が面白いです。これからも応援しております。 (2016年12月5日 2時) (レス) id: be5139214a (このIDを非表示/違反報告)
倉科(プロフ) - コメント失礼します。このサイトではあまり見かけないとても分かりやすく鮮やかな描写が素敵で一気に読んでしましました…ｗ凄く引き込まれてまだまだ続きが気になります。更新を日頃の楽しみにしつつ読ませていただきますのでこれからも頑張って下さい。 (2016年12月4日 23時) (レス) id: 04ed6ff0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kaga | 作者ホームページ：https://twitter.com/kaga_yoi
作成日時：2016年11月6日 21時
