音流家妖霊探偵團弐~Nerukeyoureitanteidan ni~ (ページ13)

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苦痛と勇気ページ13

「ｯ…！く…！」
顔を苦痛に歪める私を見て沙苗は幸せそうに微笑んだ。
「ほら、苦しいでしょう？痛いでしょう？ねぇ…？」
「……テメェｯ！Aに何した？」
田中が低い声を挙げた。何時もの田中じゃ無いようだ。
「呪いっていってるじゃーん。」
それに笑顔で返す。
「私はこいつが憎くて憎くて溜まんないの。
ｰ私は祓い屋になるために何もかも捨てたのに、コイツは何もかも受け入れて」
沙苗の怒りを現しているのか、私に絡まった蔦が更に強く私を縛り上げた。
「～～～～～ｯ！！」
嫌だ、嫌だもう…もう止めて苦しい。苦しい
ｰ昔、こんなことがあった気がする。あの時はあの子が助けてくれた気もした。
「A？！A！しっかりしてｪ？！」
ティアが私に駆けてきて蔦を外そうとした。
「おおっと、無茶はしないでねぇ。それに力を加えたり触れたりしたら、コイツは窒息するからさ。」
沙苗は私に更に歩み寄り、頬を触り始めた。
ｰ嫌だ、嫌よ嫌！止めて触らないで…
目を瞑り、声を出そうとする。
ただ、声は出ない。体は震え始めた。
「へぇ～怖いんだぁ。あんな大口叩いて、本当は怖いんだ。ね、喋れないのがどんなに苦しいか解った？」
「………ｯ…」
好き勝手言われて悔しいが手も足も出ない。
蔦と紙は更に私を縛り上げた。
「ｯ…んんん？！！！」
本格的に息も出来なくなる。
更に蔦は服の中に入りワイシャツの上から蔦の棘が体に刺さる。
血が、出ているのが何となく分かる。
ただそれを見た途端にある者が沙苗の前に立っていた。
「アンタ…好き勝手やってんじゃあ無いわよ。」
「全くだ。」
大きく手を広げる後ろ姿でも華奢な体つきで、ブカブカなコートを着ている。
ｰルキとシドが沙苗に立ちはだかって居た。