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第46話 ページ48

黒い瞳に、黒い髪。強い精神力と、『人としては並外れた判断力』。

ここは、宇宙だ。

酸素こそ通っているが、地球で長年暮らしてきたような身には辛い環境だ。
宇宙旅行者が利用するような環境では、ない。

それにも関わらず、ああして彼女は自分の足で立ち、息をし、声を出している。

彼女は、Aは、人間ではない。

それに、春雨も彼女自身も気づいていない。
絶滅されたとされる『鬼』を、手酷く扱うようなことは禁忌だ。
いつ首を引きちぎられ、目をえぐられ、蹂躙されるかも分からない。

何百年も前に、一人の女鬼がいた。
彼女は子を産み落とし、死んでいった。

その出来事は、ほんの16年も前のことである。

女鬼が産み落とし、絶滅したとされる『迫害された者』こそーー。

あの遊女に、違いなかったのだ。



Aの瞳は、なんの変哲もないただの目で。
あの天人がわざわざ会いに来るような要素は、Aには無いはずだ。

Aの黒い瞳に、俺の顔が映っている。
宇宙のように黒い瞳。

やはり、あの天人はただの人間が欲しかっただけなのかーー?

同盟関係の春雨からわざわざ奪って?
地球に行けば腐る程いるだろうに?

やはり、あの天人はAが欲しかったのだろう。
それは、間違いない。

けれど、その理由が見つからなかった。

Aは、相変わらず、微笑んでいる。
今思えば、Aはいつも笑っていた。

吉原で育ったが故の条件反射だろう。
笑わなければ、殺される。



私の目を見ながら、神威はずっと考えているようだった。
身動き一つ取れない。少しでも動いたら目を抉られそうな気がして、怖かった。

笑顔も崩さない。笑わなくても彼は何とも思わないだろうが、今は変化を与えることがとても危険なことのように感じる。

息さえ躊躇する時間の中、変化が訪れる。



天井を、見上げる。
体を仰け反り、神威の手から離れる。

次に尻もちをついた。間抜けに私はこける。

それでも、目は抉られなかったはずだ。

神威の攻撃範囲から瞬間的に離れ、私は自分の眼孔に目があることを確かめる。

神威の腕は、伸ばされていた。
その指先は、さっきまで私の眼球があったところだ。

冷や汗が垂れる。心臓がうるさかった。手足が痺れ、冷え、喉が酷く乾く。

彼は、たった今、私の目を抉ろうとした。

殺気を感じて避けれたのは、奇跡だろう。

「‥っは、‥はぁ‥」

息が乱れる。頭が痛み、眩暈がする。
そして、彼は一言、呟いた。

「‥なるほど、ね」

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飴崎 - ルーンさん» ありがとうございます〜。現状維持できるように頑張ります! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - 英さん» ありがとうございます!今すぐ取り掛からせていただきますね! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
飴崎 - バトラッシュさん» 頑張らせていただきます!読んでくださって本当にありがとうございます! (2015年2月7日 18時) (レス) id: 69cad8d3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - とても面白いです!続編楽しみに待ってます! (2015年1月22日 2時) (レス) id: 04550145ac (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!続編楽しみに待っています! (2015年1月21日 7時) (レス) id: b6fd32bf94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飴崎 | 作成日時:2012年8月6日 14時

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