恋色絵の具《渡親治》

15枚目 ページ17

「渡の機嫌が良すぎじゃないだろうか！！」
「花巻うるさい」

スパッと言い放った松川に、キッ！と花巻が顔を歪める。
うわぁ、顔ぐちゃぐちゃじゃねぇか。

「松川だって本当は思ってんだろ！！あいつ何なの機嫌良すぎだろ！！もういっそからかい通り越して羨ましいわ！！」
「デート誘うの成功したらしいな」
「俺のおかげ」
「及川テメェリア充がぁぁぁ！！」

ガタガタと及川の肩を揺さぶる花巻。涙だか鼻水だか、よくわかんねぇもんで顔がすっげぇきたねぇ。

「いいじゃーん、後輩の恋愛が成功しそうなんだよ？満を持して祝ってあげようよー」
「リア充黙れ腹立つ」
「やっかみは見苦しいぞ花巻」
「お前は仲間だと思ってたよ松川！！」
「うるせぇ」

マジでうるせぇ。

「…まぁ俺は渡より、金田一の方が気になるけどな」
「は？金田一？」
「何で？」
「最近あいつ機嫌わっりぃもん。渡が良くなるに比例してどんどんどんどん急降下してる気がする」
「…まぁ、言われてみればそうだな」

最近の金田一は、何と言うか怖い。
元々長身でつり目だったからか、最近は機嫌が悪くなるにつれて悪人ヅラが成長している。及川ファンの女子達からも恐れられて、最近では「第二の京谷」なんつー訳の分からん異名まで出来ていた。

「あいつ何かあったの？女子に振られた？」
「何で金田一まで恋愛にこじつけるんだよ」
「じゃあ赤点取ったとか？」
「それだけであんなに機嫌悪くなるか？」

考えれば考えるほどわからない。
金田一はどちらかというと温厚な性格だから、そんな流石に京谷ほどにはならないと思うが。

「……まぁそういう時は」
「最終兵器」
「国見ちゃん」
「お前ら国見に頼りすぎな」

まぁ、俺もそのつもりだけど。









「……金田一」
「何だよ」
「機嫌悪すぎ」
「そーかよ、悪かったな」
「……また妹ちゃんの事」
「………うるさい」

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