13枚目 ページ15
そしてその夜。
(どうしよう)
俺、渡親治は、及川さんからもらった“リンゴスイーツ専門バイキング”の半額チケットを枕の上に置いて、どうしたものかと考えあぐねていた。
距離的な問題ではない。駅近な繁華街ビルの中で、高校生もよく出没する場所。お値段的にも俺達の財布に優しく、プラス半額チケット。問題は、ない。
「雪ちゃんを誘えるか否かって点を除いてだけどな!!!」
チケットは2枚。これを見て俺が誘いたいと思うのは、今の所雪ちゃんがダントツトップ。
しかしまだ知り合ったばかり、少しハードルが高すぎる!けど誘いたい!てかデートしたい単純に!
「女の子誘うのがこんなに勇気いるとは思わなかった…」
別に、恋愛経験がないという訳じゃない。彼女だって人並みにはいた。ただ、その全員と上手くいっていたかと言われればそうじゃないし、好きだったかと言われれば、雪ちゃんほどではなかったと断言出来る。
「…つってもなぁ…」
雪ちゃんはいい子だ。絵は上手だし純粋だし、色んな事に目を輝かせる姿はとても可愛い。彼女が世界を見るその瞳は、俺にとって宝石よりも光っているように見えた。
だからあの子が好きになった。あの子の目が俺を見た時、俺はその目に惹かれたんだ。
「……」
とは、いえ、この渡親治。バレー以外ならかなりヘタレであると断言出来てしまう豆腐メンタルの持ち主である。時折矢巾と2人でつぎの主将候補にも言われるけど、多分俺は断固拒否するだろう。
「………あーもー、めんどくせー!」
話が脱線しているが、本題はデートに誘うか否か。多分誘わなきゃまた部活で周りがくそうるさい。何より俺自身も誘いたい。雪ちゃんと一緒に、“お出かけ”してみたいのだ。
「……よし!」
覚悟を決めて、スマホを手に取る。操作する親指がここまで震えているのは、かじかんだ冬の日以来だろうか。
何にせよ決心した。度胸試しみたいなものだが、それでもいい。そっと耳にスマホを当てる。
プルルル、と鳴っている音が心臓の鼓動を早くする。試合の時より心臓に悪いわ。
『……もし、もし』
「っ、あの!」
焦るな、落ち着け、ゆっくりと。
『…渡君?』
「次の日曜日、一緒に遊びに行かないかな!?」
なんか、ちょっと、顔が熱い。
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ユグド(プロフ) - 18↑さん» コメントありがとうございます!ハイキューは初めて書いたのですが、楽しんでもらえて何よりです! (2018年12月20日 11時) (レス) id: 67fea2266c (このIDを非表示/違反報告)
18↑ - 連載当初からずっと読ませていただいております。とても面白くて、更新される日をいつも楽しみにしています! (2018年12月20日 9時) (レス) id: 42ad75da4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユグド | 作成日時:2018年12月13日 20時