6.恐怖の… ページ7
『またあったね、おねえちゃん？』
その明るい声に、あたしは聞き覚えがあった
(たしか…)
「虫つかいの子！？？」
上の方を向くと、ビアンカちゃんをさらったときと同じ、虫の入ったビンを手に持っている。フードでよく見えないけど、恐ろしい気配をまとってる事だけはわかるっ！！
「おいっ！誰だよ、そいつ」
チトセは、あたしのこと支えながら、同じく声のした方を見る。
「ビアンカちゃんの時の…」
顔に汗をかきながら、チトセに答えようとした瞬間、言葉を遮られた
『あれ〜？お兄さんあの時…あぁ、記憶なかったのか〜』
クスクスっと笑ってビンを揺らす
『そういえばさ〜、あの緑の髪の子、いないねぇ〜？』
「はっ、まって、カリンどこ！？というか、なんであなたカリンのこと知ってるの！？」
『だってぇ〜この国に来てからずーっとみてるもん〜』
「…ちっ、この国に入った時点でもう手遅れかよっ」
チトセは、あたしの事を庇いながら、逃げられる方法がないか、必死に探してるらしい…
あたしも力になりたいけど…足が動かない
『まぁ〜緑の子はどこ行ったか、わかんないんだよね〜』
「え…それって、どういう事…？あんたが隠したとかじゃないの…？」
『僕は知らないよ〜？僕自身、君しか興味ないっていってるじゃん〜？』
一瞬、姿が見えなくなって、いきなり虫つかいの子が目の前に現れる
「…つ！！」
怖さのあまり、体が竦んで動かないっ！
「フウカから、はなっれろ！！」
チトセが守ってくれて、虫つかいは元いた位置にスッと戻っていった
『ふぅ、あぶないあぶない…そうそう、おねえちゃん。一緒においでよ。僕にその髪、頂戴よ〜』
ゆらゆら飛びながら、続ける
『前も言ったけど、その髪は救いなんだよ〜その力さえあれば〜なんて、そんなのあの方に怒られちゃうね』
(…っ、あたしの髪って本当になんなのっ！？パパの事もわからないし…
髪の事を言われた場面が、次々と浮かんで、胸が苦しい…
「…髪がなんだよ。こいつは、紛れも無い、俺のフウカだっ！！これ以上、フウカを傷付けるなっ！」
＿＿＿////っ…
チトセの不意打ちの言葉に、涙が溢れる
『…やっぱり、あの時殺しておけば良かった、かな、まぁ〜いいや。ちょうど時間らしいし…』
「またね、おねえさん。今度は青の城のやつがいない時にあお〜ね？」
あっという間に闇に消えてしまった＿＿＿
痛みと安堵と嬉しさが入り混じる…
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作者名：あんず | 作成日時：2018年5月3日 15時
