5.思惑 ページ6
「…い、おい!」
「今度はどんな夢〜」
「寝ぼけてんじゃねーぞ、フウカ!」
半ば強制的に起こされた私は自分たちの状況に驚いた___
だって、部屋で気持ちよく寝てたはずなのに、気付いたら牢屋に手枷で繋がれてたんだもん!
「えッ!?な、なにこれ!??」
「完璧にあの女に嵌められたな、こりゃ。」
「いや、Aはそんな事する子じゃなさそうだったじゃん!」
「お前はなんで、こう、疑わないのかよ」
チトセはため息交じりで呟いた
(疑えって言ったって、ホントにAは…今はそれどころじゃないよね!)
小声で、よしっと言って気合をいれる
(まずは、ここから出る方法を探さなきゃ!!)
「ねぇ、どうすればいいのよ、これ!」
自分の枷をジャラジャラ揺らして、何かないの〜と地面に叩きつけてみる
「頑丈そうだし、物理的に壊す事は難しいかもしれないが、魔法でなら鍵開けられるんじゃないか?」
「ん〜〜…魔法…風!」
「おいっ!それだけはやめろっ!!俺にも害がおよぶだろ」
「ちぇっ…じゃあ、チトセ何か魔法唱えてよ〜」
チトセもお手上げの様で、眉間にシワが寄っている
(…あたし、さっき何か…魔法覚えたような…)
「あーーー!!わかった!!」
「っ、なんだよ大声で」
「わかったの!開ける呪文!!」
「本当か!??」
チトセはとても驚いた顔であたしの事を見ている
(さっき夢で見たじゃない!えっと、確か__)
「アクローシア!」
見事に自分たちの手枷が外れ、牢屋の鍵も開けられて、外に出る事が出来た。
チトセは、助かったーと呟きながら、笑顔で
「おまえ、すげー魔法使えるんだな…関心した」
「はっ!??」
(…っ!チトセに褒められてるっ!!しかも、笑顔っ)
自分の顔が赤くなっていくのがわかって、かき消すように、ブンブン頭を振る
(確かに、チトセは顔が整ってるし、こんな笑顔で優しい事言われたら、かっこいいってなりますよね…)
クラスの女子たちの事を思い出すと、なぜか、胸が痛む
(あたしに対しても、毎日優しかったらなぁー…)
「大丈夫か?顔が赤い…」
ふいに、チトセの手が視界に映って、頰に添えられそうになったところで、突然足にチクっと痛みを感じた
「…っ!」
あたしは片足が痺れてきて、チトセに倒れ掛かった
「っおい!大丈夫か!?」
「ははは、なんとか大丈夫…」
『またあったね、おねえちゃん?』
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作者名:あんず | 作成日時:2018年5月3日 15時