4.夢の中で… ページ5
『…か、フウカ』
遠くで誰かが呼んでいる
その声は、優しく美しいママの声__
『フウカ、なんだい?』
『ママ〜、かぎがあかないの〜…あけて〜〜』
重い瞼をあげるとそこには昔懐かしい、小さい頃のあたしとママがいた
『鍵は、どうしたのか?』
『どっかいっちゃったの〜、あけて〜』
宝箱みたいなおもちゃの箱をもったあたしが、泣いて訴えている
(うわぁー…あたしなにやってんの!恥ずかしいよ〜)
『もう、しょうがないな。』
ママは幼いあたしから箱を受け取ると、手をかざして魔法を唱える
『…いいか、フウカ。何かを開ける魔法は『アクローシア』と言うんだ。覚えといて損はない。』
『ぁあくろーしやぁ?』
『…まぁ、近い。困った時は誰かに助けを求めることも必要だが、自分自身で解決する方法を考えるんだ。』
あたしに箱を返しつつ、続けて言った
『お前は私の自慢の娘。だから、いつも笑顔で、人を助けなさい。』
(…なんか、こんな事もあったなぁ〜…やっぱり、あたしのママはカッコいい…)
そんな昔の思い出に、深く吸い込まれていった__
Aside
フウカたちを眠らせてから、私は大急ぎで階段を駆け上がり、曲がり角すぐの部屋をノックした
「…失礼します。A、ただ今参りました。」
「…よくやった。アベルの娘は勿論、他の者も、他の部屋に移せ。」
大柄な男はそうやって兵士に命令した。はっ、と数人兵士が部屋を出ていった
「ザカール様…お兄様の件なのですが。仕事は果たしました。約束通り、どうしたら元に戻るのか…教えて下さい」
「いや、まだ仕事は終わっていない。」
椅子に座っているザカールは睨みつけるように、Aをみた
「で、ですが…あの金髪の子をこの城に誘導したら、という約束じゃないのですか!?」
ちっと舌打ちをして、ザカールはAをじっと見つめた。
一瞬、ひとみが赤色から紫色になった途端、Aはガクッとその場に崩れ落ちた
「俺の能力は、人を操ること…逆らったからには、許さない…」
そう言ってから、Aに命令した
「まずは、あのライトグリーンの髪の娘をここに連れてこい」
Aは自分の意思とは裏腹に、跪いて、体が勝手に動かなくなっていた
(はぁっ!?ちょっと、動かない…)
「…了解しました。」
(違う違う!そんな事言いたいわけじゃ…)
ザカールは笑みを浮かべていた
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作者名:あんず | 作成日時:2018年5月3日 15時