たびとも。 (ページ10)

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昔ページ10

それからは、俺がなぜ海軍をやめてここにいるのか、その経緯を話していた。言ってしまったからには引き下がれなくなったのだ。

俺が話している間は、相槌をうちながら、でも言葉は発さないまま聞いていた。

「まあ、俺はそいつのやり方が気に入らなかったんだよ」

ああ！と何かを思い出したように声を上げた。

『私その人見たことあるよ！ちょっと悪い海賊が周りウロチョロしてるだけで街壊してくの。あははは』

何が面白いのかは知らないが、街を壊される様子を見て笑っていられるなんて相当な子であることは分かる。

一通り話し終えて、無言のまま二人で空を見上げていると、Aが徐に口を開いた。

『あのね、私海軍も海賊も天竜人も人間も大嫌いだよ。…でもね』

にっこりと笑って俺の手に手を重ね、言った。

『おじさんは好き。ちゃんと人として』