#3 視線の先 前編 ページ4
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「おや、どうしたんだ、三神。へろへろじゃないか、長距離のこと、誉めてあげようと思ったんだが」
一つ上の先輩、長距離走の桐生優介(きりゅう・ゆうすけ)が、からかい半分で言う。休んでいる理苑は面倒臭そうに無視を決め込んだため、代わりに一哉が対応する。
「なんでここにいるんですか、桐生さん。赤ブロックはあっちですよ」
赤ブロックのほうを示し、暗に『帰れ』と告げる。
「次は累(るい)の綱引きだからな。冷やかしついでの応援さ」
いつも通り、野次のような声援を送るのであろう。内容はともかく、累――三段跳び専門の二年生・雪村(ゆきむら)累の力にはなっているようなので、口出しはしないが。いつもはチームメイトである桐生も、今回に限っては敵――もとい、白ブロックである。確かに、あちらではやりにくいだろう。
桐生も空気を読めたんだな、と一哉は思った。
「俺だって空気ぐらい読むさ。大概失礼だな、御前は」
「心読んでんじゃねーよサトリか」
「そんなことより、もう始まるようだから行ってくるよ」
突っ込みをスルーして、桐生は応援席の前の方に行ってしまった。
「仲いいよね、累と桐生先輩」
「それな。いつでも一緒だろ、あの二人……って、理苑。もういいのか?」
「うん」
見ると、体力はともかく、大分回復したようである。仲のいい人間でなければ、全く普通だろう。しかし、そこは幼馴染の一哉だ。
「ま、もうちょい休んでようぜ。今度は障害物だろ?」
「大丈夫」
「いいからいいから」
ムッとして理苑が言い返すが、一哉は理苑の手を掴んで座らせた。過保護とも思えるが、それほどまでに、彼女の弱った姿は衝撃的であった。
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ゼファー(プロフ) - Kirariさん» ありがとうございます。これからも頑張ります。 (2021年2月8日 8時) (レス) id: 758eda2cb0 (このIDを非表示/違反報告)
Kirari - すごいおもしろかったです!内容もすごくおもしろいし、キャラも、みんな個性あっておもしろかったです!これからもがんばってください! (2021年2月7日 21時) (レス) id: 659499b88d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゼファー | 作成日時:2021年1月15日 11時