#1 韋駄天と風 ページ1
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ポン、ポンッと、秋晴れの空に乾いた雷(らい)の乾いた音が響く。
真っ白な雲の間を流れる煙が、熱き戦いの始まりを告げた。
「……何してんだ、理苑。ぼけーっと空眺めて」
灰色の煙が空に拡散していくのを見ていた彼女に、緋藤学院二年生・成瀬一哉(なるせ・かずや)はそう、声をかけた。声をかけられた彼女――同じく緋藤学院二年生の三神理苑(みかみ・りおん)はしばらくして、隣の一哉に視線を移した。
「何か用」
「お前ってなんか気になるとガン見する癖あるよな。物だったらいいけど、人だと妙な誤解生むから気をつけろよ？」
実際、そのせいでよく誤解を生んでいる理苑は、「うるさい」と言って一哉を睨む。
「おー怖。そんな睨むなよ。そういや何に出るんだっけ、理苑は」
「長距離と障害物」
「うっわえげつね！ それきついだろ！」
「別に」
体育祭の競技は、夏休みが明けてすぐに決められた。二人の所属する陸上部は大会と文化祭が被る。そのため、大会の被らない体育祭では拒否権はなく、ほとんどの陸上部員が長距離などのきつめの競技や、障害物走(飴食い競争も合わさっている)のような恥ずかしい競技を押し付けられるのである。
もちろん、例外もある。その一人が、理苑の隣にいる男であった。
「俺は100メートルとブロック対抗」
「それはそうでしょ」
ハードル走において全国5位の成績を持ち、短距離走でも高い実力のある『緋藤の韋駄天』こと成瀬一哉を起用しないというのは愚かとしか言いようがない。そしてまた、理苑も『緋藤の風』と呼ばれる短距離走の名手だった。
「勝ちなさいよ」
「そりゃもちろん」
二人はニヤリと笑いあった。
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ゼファー(プロフ) - Kirariさん» ありがとうございます。これからも頑張ります。 (2021年2月8日 8時) (
レス) id: 758eda2cb0 (このIDを非表示/違反報告)
Kirari - すごいおもしろかったです！内容もすごくおもしろいし、キャラも、みんな個性あっておもしろかったです！これからもがんばってください！ (2021年2月7日 21時) (レス) id: 659499b88d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゼファー | 作成日時：2021年1月15日 11時
