【オリジナル/BL】悪魔の翼 (ページ40)

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#10 五本の柱ページ40

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「はっ、はぁっ、ぁ、はあっ……」
　アイリに教えられていたように、必死に力を抜こうとする。内臓を押し上げられるような圧迫感に、呼吸も整わない。息を吸って、吐いて、その動作にこもる力にぞわりとした感覚が押し寄せる。
　どんなに優しくされても、苦手なものは苦手で、辛いものは辛いのだ。
「ぁう、……ッ、あ」
　侵食は酷く緩慢で、執拗なものだった。啼き声だか泣き声だか分からない声を上げていると、ぽろりと涙が溢れた。
「もう、やめ、て……」
　普段のように酷くされる訳ではなかったし、痛みもあまりなかったが、どうにもこうにも辛くて仕方がない。
「やめて、もう……許して……」
　昔は違った。恐怖を感じたことはあまりなかったから、こんな風に泣くこともなかった。だが、知ってからは理性で制御できない、耐えられないものがあるとわかった。アイリを喜ばせてしまうとわかっていても、思わず出てしまうのだからどうしようもない。
　ユウは振り返って懇願するが、すぐに力が抜けて崩れ落ちる。
　アイリはユウの中に埋められたままで動いてくれないし、普段のように体を弄る訳ではなく撫で摩るだけだ。
　弱々しくしゃくり上げるユウの頭を撫でながら、アイリは歪んだ唇で囁いた。
「まだ、なんにもしてないよぉ？」
　楽しげな声にびく、と体が跳ねた。アイリはしょうがないなぁと笑って、抱えていたユウを優しく揺らし始める。
「ユウ」
「っうぁ、ッ……あ」
　低い声で、アイリが呼ぶ。
　引き摺り出されようとしたものに内側が絡みついて、身体に力がこもる。腰に掛かったアイリの手がぐっと挿入を深くして、もう一度揺さぶられる。
　アイリは自分本位だ。好きか嫌いかは別として、ユウにはそれが羨ましくもあった。きっと自分には、逆立ちしたってできないことだから――そんな考えが脳裏を過ったのはほんの一瞬だ。
「ッ、ひ、あぁっ……あ！」
　アイリの動きに思考を乱される。壊れた神経をなぶりものにされるのも、苦痛だけなら耐えられたが、それに快楽も混ざるとどうしたらいいのかわからない。だが、少しだけ安心した。理性を保ち続けたままあの感覚を与えられる方がよほど恐ろしい。意識はまだはっきりとしていたが、身体が先に限界を迎えた。

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