無計画なる放浪者 part2 ページ34
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『『ジブリール』、オマエ、稀代のバカだろ』
天界では時折つかれた悪態が、聞こえた気がした。ユウは戦いのあと、自分が負うものではなかった傷を見たエイスによく言われていた言葉だ。
「っ、あ……」
焼けるように熱い吐息が耳にかかる。ユウの耳だって発熱のせいもあって酷く熱を持っているのに、アイリの吐く息はそれよりも熱く荒い。時折耳に口付けしゃぶってくるその口内も熱かった。
――エイスがここに、いる訳が無い。
ここはユウのベッドの上で、いるのはアイリなのだ。
それを確認するためにユウが瞼を上げると、自分を押し倒しているアイリが「なあに? 足りないの?」と訊ねて、中に埋めていた指を増やす。
強くなった圧迫感に、ユウは思わず顔を顰める。
「……痛い?」
ユウはふるふると首を降って否定する。いつもと違って痛みはない。かわりに圧迫感と違和感が強かったが、それについてはなにも言わないようだ。
「ねえ、今何本入ってるかわかる?」
「……っ、に、ほん?」
アイリの指がぐるりと抉るように動かされて、ひっと喉から声が漏れ出た。
「不正解。三本だよ、ユウ。ちゃんと指、咥えられてて偉いね」
声色は『アイリヴ』のそれなのに、普段よりもずっと優しく言われて、訳が分からなくて混乱する。以前に抱き潰された時とは全く違う。だが、あのアイリが優しくするだけで済ませるはずがない。
――自覚がない、とは言わせない。ユウが必死で許してくれと懇願した瞬間に、彼はとても嬉しそうに笑うのだ。
そして『可愛い』などと言いながら、自分にとって恥ずかしくて仕方がない言葉を言わせようと、さらに追い詰めてくるのだ。
嫌がれば嫌がるほど、彼はその行為を何度も何度も繰り返す。抱かれている自分の姿を鏡で見せたり、達した時に出てしまったものに触れながら耳を塞ぎたくなるような言葉を何度も囁いたり。
そうやって追い詰められると、余計に変な感覚が走って声が上がってしまい、アイリは自分を責めるのだ。何度も意識が飛んでもおかされて、気がつくと身体は綺麗にされて隣にアイリがいる。結局気絶しても貪られたのだなと言うことを理解するのだ。
はっきり言って、こういうことは苦手であるし、男同士でするのはおかしいのだ。
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作者名:ゼファー | 作成日時:2021年1月14日 13時