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106. ページ6

それ故に使い手は己が放った斬撃の軌道を完璧に覚えておく必要があるのだが、記憶はAの得意分野である。使いこなせるようになるまでそう時間はかからなかった。

因みにこの呪具は二本で一つ、つまりは二刀流の剣士が使う呪具なのだが、今回Aは狭い中で刀を二本振り回すのは如何なものかと一本しか出していなかった。
二本になればこの呪具を使いこなすことがどれだけ難しいかが分かるだろう。

・・・と、まあそんな話はさておき。
二級は攻撃を受けたことを理解し、とんでもなく大きい奇声を上げた。

「いッ・・・!?、うるさッ!?」

思わず左手で耳を抑えたAに、二級の触手が襲いかかる。Aは「やべっ」と小さく呟き、個室の外へ飛び上がる。それを追って、二級も個室の外へやってきた。

「(個室凸する前にミニ帳張っといて良かった・・・。)」

Aは刀を構え、そんな事を考えた。
ここ最近呪霊の強さもワンランクアップした。つまり、戦闘が激化することも有りうるという事だ。そのためAは帳を小さく張る技術を身に付けていた。
・・・何度か施設の壁やら備品やらを破壊したことは触れないでおこう。

しかし、その技術は呪術師であることを隠さねばならないこのブルーロック内で非常に役立っている。現に、たった今目の前の呪霊と激闘が始まろうとしていた。

「ぎぇぇ」

呪霊がそんな声を発した時、Aは既にバク転で後ろへ下がっていた。
次の瞬間、Aの立っていた床へ触手が次々突き刺さる。

「(あっぶね〜!)」

手を床につけ、足を空中に投げ出した所謂逆立ちの体勢でAは呑気に心の中でそう口を開いた。
しかしその思考も一瞬のこと、Aは腕を曲げた後、その腕をピンと伸ばす反動で呪霊へ蹴りを仕掛けた。

「ぁあああ゛っ!」

みし、と呪霊の顔部分が歪む。Aのブーツに付いた短めのヒールが呪霊の肉を抉った。
そしてその蹴りの反動を利用して空中で一回転しつつ再び地面に足をつけて降り立ったAは間髪入れずに刀を真っ直ぐ振るった。

ざん、と呪霊の肉が裂ける。
・・・勝負あり。呪霊の体はぴくぴくと痙攣し、やがて動きが緩慢になっていく。

___と、その時。
最期の粘り、とでも言おうか。呪霊の背中から伸びた無数の触手が、360°全方位に向けて勢いよく伸びた。それにいち早く気付いたAはぴょいと飛び上がってそれを避けたが、辺りに置かれた物はそうはいかない。

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raiz(プロフ) - 神里浦飛さん» わー、そう言って頂けて嬉しいです!!こちらこそありがとうございました! (3月31日 17時) (レス) id: 9fe4c24c21 (このIDを非表示/違反報告)
神里浦飛(プロフ) - 面白くて一気読みしました!最後まで読んだ、と思ったら、番外編の千切りに爆笑させられました。楽しい時間をありがとうございます! (12月7日 20時) (レス) @page49 id: fb6d1b08bc (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - れんれんさん» 返信遅くなり申し訳ありません、コメントありがとうございます!最後に面白かったと言って貰えるよう頑張っていたのでその言葉が沁みます・・・(*´꒳`*) (2023年4月14日 21時) (レス) id: 83866824e4 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - リィさん» コメントありがとうございます!ここまで読んで頂き感謝しかないです・・・!!返信遅くなって申し訳ない・・・。 (2023年4月14日 21時) (レス) id: 83866824e4 (このIDを非表示/違反報告)
れんれん - 完結おめでとうございます!ほんとに面白かったです(*^ω^*)番外編待ってます!!! (2023年4月9日 15時) (レス) @page45 id: 63496a6874 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:raiz | 作成日時:2023年3月25日 23時

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