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137. ページ37

「ボクだってッ・・・!!」

氷月はぎゅっと己の手の中の刀を握りしめる。負けるのか?こんなちんちくりんに?

「このボクが負けるなんて、有り得ないね」

強く地面を蹴って、宙を舞う。刀を鞘に収めて、そして。
空いた両手で、氷月は印を結んだ。

「領域展開・・・!!」


___氷雹大紅蓮門!



次の瞬間、領域の押し合いが始まる。
氷月の領域と、Aの領域。どちらも完璧な精度であり、呪力量もほぼ同等。

ぴしり。

領域にヒビが入った。___が、しかし。地面が崩れてもとの世界に戻された時、氷月の領域は展開されなかった。

二人の能力が拮抗したが故の、領域の崩壊。

Aも氷月も、空に放り出された状態で目を見開いた。

氷月は悔しそうにぐ、と鞘に収まった刀の柄を握る。しかし先程自分の能力の幅が広がるのを感じたというのもまた事実だ。

氷月は足場を生成し、Aがやってくるのを待つ。

目を閉じ、意識を研ぎ澄ませ___。

抜刀。

氷月は瞬間、目をパッと開いた。そして刀に何か重量のあるものが乗っていることに気づく。

「無賃乗車失礼」

「クソが・・・!!」

氷月は刀の刃の上を経由して氷月に攻撃を仕掛けようとするAに悪態を吐いた。

「(あーもー、これは使いたくなかったのに・・・!!)」

Aによる破天荒な攻撃方法により、肩口に鋭い痛みが走る。氷月は並の呪具であればあまり傷つかないのだが、この呪具は別格だ。恐らく特級の名を冠す呪具なのだろう。

攻撃を食らったことで苛立つ氷月は、ついに奥の手を発動した。

「やっちゃお、マフラーちゃん。この前は氷漬けにしちゃってゴメン」

もう一発、と太刀を振り抜いていたAは、氷月の言葉を聞き取って途端にその場を跳んで離れた。そして顔を上げた頃、先程までAのいた場所に氷月のマフラーが伸びているのが見えた。マフラーの先は異様に尖っていて、あの場にいればかなり痛い攻撃をもらっていたであろうことは明確だ。

Aはあのマフラーはどうやら呪霊らしいということに気付く。
氷月の術式はきっと術式の強制解除というメインの効果に加え、「呪力の隠蔽」というサブの効果も持っている。
マフラーの呪力が分からなかったのもそういう原理なのだろう。

独り納得し、Aはどう戦おうかと思案する。正直言って厄介だ。
Aが覚醒状態に入った途端に氷月も覚醒状態に入る___Aはまさにいつか見たU-20の試合のようだと思った。

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raiz(プロフ) - 神里浦飛さん» わー、そう言って頂けて嬉しいです!!こちらこそありがとうございました! (3月31日 17時) (レス) id: 9fe4c24c21 (このIDを非表示/違反報告)
神里浦飛(プロフ) - 面白くて一気読みしました!最後まで読んだ、と思ったら、番外編の千切りに爆笑させられました。楽しい時間をありがとうございます! (12月7日 20時) (レス) @page49 id: fb6d1b08bc (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - れんれんさん» 返信遅くなり申し訳ありません、コメントありがとうございます!最後に面白かったと言って貰えるよう頑張っていたのでその言葉が沁みます・・・(*´꒳`*) (2023年4月14日 21時) (レス) id: 83866824e4 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - リィさん» コメントありがとうございます!ここまで読んで頂き感謝しかないです・・・!!返信遅くなって申し訳ない・・・。 (2023年4月14日 21時) (レス) id: 83866824e4 (このIDを非表示/違反報告)
れんれん - 完結おめでとうございます!ほんとに面白かったです(*^ω^*)番外編待ってます!!! (2023年4月9日 15時) (レス) @page45 id: 63496a6874 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:raiz | 作成日時:2023年3月25日 23時

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