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Aは仕舞ったばかりの刀を一本だけ取り出し、構えた。取り敢えず、絵心達が逃げるまでの時間を確保しなければならない。
「(私が、やらなきゃ・・・)」
ぐ、と刀を握る手に力を込める。
そうして対峙した氷月の口角が確かに上がるのが、Aの瞳に確かに映る。
「・・・あーあ、ダメじゃん、人間ちゃん達逃がしちゃったら。
考えたんだけどさ、ここで君の神経をすり減らしておくってのも、結構良いよね」
一方その頃、絵心は海外選手やブルーロック所属の選手達を1箇所に集め、緊急事態が起きたから施設の外に逃げて欲しいと彼等に説明していた。その隣には帝襟も控えていた。
「絵心さん、緊急事態ってどういうことですか・・・!?説明してください!」
「緊急事態は緊急事態だ。ここから一旦避難する・・・死にたくないのなら、それが一番だ」
「待ってください、じゃあAちゃんは・・・!?探しに行かないと!」
「・・・死にたくないなら、首を突っ込まないのが吉だろうね。
俺だって見過ごすのは辛いけど、俺達がどうこうできる問題じゃない」
「・・・?それって、どういう___」
絵心だって、Aが心配なのは同じだ。Aの等級は1級。
呪術師、しかも学生で1級とはかなり凄いことなのに、1級の更に上、特級を相手取っているなど普通ではありえない事だ。
しかしいくら心配と言えども、Aの力になることはできない。
絵心は己の無力さを恥じたが、ここで出来ることは選手達を安全圏まで逃がし、Aが戦闘に集中できる環境を作ることだけなのだ。
帝襟を無理矢理黙らせ、絵心は選手達を出口に繋がる通路へ案内しようとする。
しかし結論から言ってしまえば、それは失敗に終わった。
「は・・・?」
絵心は、その真っ黒い瞳に絶望を映した。
普段見ることの叶わないソレが、自分達の目指すべき場所に、無慈悲にも佇んでいた。
「あああ゛っちむィてほぉ゛い」
「ずるいずる゛いずるぃい゛」
わらわらと部屋に侵入してくる呪霊達。
低級以外の呪霊はあまり群れないと聞いたことがあるが、この呪霊達は明らかに低級のそれとは違っていた。
「なんだあれ!?」
「おいおいどうすんだよ!?」
それが目に見えているのは選手達も同じなようで、パニックを起こしている選手も見受けられる。絵心は急いでタブレットを起動させ、緊急用のアプリのアイコンをタップした。
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raiz(プロフ) - 神里浦飛さん» わー、そう言って頂けて嬉しいです!!こちらこそありがとうございました! (3月31日 17時) (レス) id: 9fe4c24c21 (このIDを非表示/違反報告)
神里浦飛(プロフ) - 面白くて一気読みしました!最後まで読んだ、と思ったら、番外編の千切りに爆笑させられました。楽しい時間をありがとうございます! (12月7日 20時) (レス) @page49 id: fb6d1b08bc (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - れんれんさん» 返信遅くなり申し訳ありません、コメントありがとうございます!最後に面白かったと言って貰えるよう頑張っていたのでその言葉が沁みます・・・(*´꒳`*) (2023年4月14日 21時) (レス) id: 83866824e4 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - リィさん» コメントありがとうございます!ここまで読んで頂き感謝しかないです・・・!!返信遅くなって申し訳ない・・・。 (2023年4月14日 21時) (レス) id: 83866824e4 (このIDを非表示/違反報告)
れんれん - 完結おめでとうございます!ほんとに面白かったです(*^ω^*)番外編待ってます!!! (2023年4月9日 15時) (レス) @page45 id: 63496a6874 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiz | 作成日時:2023年3月25日 23時