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暫くして、その場を去ったA。千切と國神の2人が心配そうにAを見送っているのを、御影はぼうっと眺めていた。
先程から、なんだか頭に引っ掛かりがあるような気がする。凪のことも絡んでいるのかもしれないが、それとは違う、違和感。

・・・自分は何か、忘れてやいないだろうか?

御影はAのあの、涙の膜が張った薄青の美しい瞳を一度見た事があるような気がしていた。

「(何か、忘れてるような・・・。)」

凪の事は今は出すな、と己に言い聞かせつつ千切と國神の会話をBGMに思考を巡らせる。忘れてる、と言えどもそれは「あの単語が思い出せない」だとかそういう朧気な記憶とはまた違っていた。
根元から記憶がごっそり抜け落ちているような、そんな違和感。それが先程からずっと御影を支配してやまない。

「記憶が抜け落ちている」ということに気が付いたのはAの涙を見たからだ。御影の抜け落ちた記憶の中で、Aは泣いたことがあるのだろうか?

「(わっかんねぇ・・・。)」

いくら御影が思考を巡らせようとも、答えは出てこない。しかし、それを解明しないと後味が悪い。
凪なら、何か知っているかもしれない。そう思ったが、凪はもう居ないのだ。彼奴に頼らず、自分だけで解決せねば。悶々と思考を続けていれば、千切に己の名前を呼ばれている事に気づいた。はっとして顔をあげれば、そこには呆れ顔の千切が立っていて。

「おい、お前大丈夫か?何度も呼んだんだけど。」

「え、あぁ・・・すまん。(アイツ)とは関係ないとこで悩んでて。」

まぁ、凪の方でも悩んではいるけど。
御影は脳内で言葉を補足し、「そっか」と相槌を打って歩き出した千切の背について歩き出す。國神は既に部屋へ戻ってしまったらしい。

「(分かんないもんは今考えても仕方ない、か。・・・今はサッカーに集中しよう。)」

御影はそう思い直すと、ぐちゃっとした思考を纏めあげて足を進めた。



・・・一方、Aは絵心の元へやってきていた。その隣には金髪の男性、七海健人が控えている。

と、いうのもAがあの3人と一緒にいる間、五条に色々と引っくるめられて此処へ連れてこられたらしい。五条の「トぶ」能力は何時でもどこでも発動できるものでは無いのだが、そんなに酷使していいのだろうかとAは心配に思った。


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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時

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