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そうして、とある日の昼下がり。
医務室へ着いた3人はAの様子に安堵した。やっと目を覚ましたのだ。
「・・・ん、なんか此奴、様子おかしくね?」
「確かに。Aちゃん、分かる?」
「うっわ、いきなり名前にちゃん付けかよ、おぇ。」
「子供にはこれくらいの距離感でいいんだよ。」
何時まで経っても言葉を発さないAに、2人は言い合いを始めた。それに対し、家入が口を開く。
「ちょっと、まだこの子混乱して、」
その時。家入の真横を、大きな氷柱が通り過ぎて行った。先の尖ったそれは、後ろの壁へ容赦なく突き刺さる。
虚ろな目でベッドから起き上がるAに、3人は距離をとって臨戦態勢へ移った。
「何此奴、暴走?」
「分からない。取り敢えず、止めないと・・・。」
「あっぶな。」
三者三様の反応を見せつつ、3人は陣形を整える。Aはフラフラと体を揺らし、氷の塊を放った。しかし滅茶苦茶に繰り出されたそれを避けるのは3人にとって容易なことだ。
「悟、殺さないようにね!」
「わかってるっての!」
夏油の言葉と共に、五条がAの鎮圧に向け走り出す。
それを拒むように、Aは氷の壁を作り出した。天井を突き破って出現した氷の壁に一度は行く手を阻まれた五条だったが、それを呪力で強化した足で容赦なく壊すとまた走り出す。
「っ、」
Aは苦悶の表情を浮かべ、術式による爆発で建物を破壊した。轟音が響き、瓦礫がガラガラと降る。
しかし、五条は無限を張ってそれを防ぎ、遂にAの元へと辿り着いた。
「っは、っは・・・。」
何度も何度も荒い呼吸を繰り返すAに、五条は彼女の呪力が既に底をつきそうになっていることに気づく。
このまま術式を連発しては危ない。
しかし目の前の少女は術式を使うことを辞めなかった。そんな彼女に五条はため息をつく。
「何やってんだガキ。」
とん、とAの首に手刀が落ちた。漫画でよく見る首トンである。中々に加減が難しいのだが、五条は涼しい顔でそれをやってのけた。
どさりと倒れ込んだAの小さな体を抱き抱える。
辺りは焦土と化し、建物があったとはとてもじゃないが思えないほどの焼け野原になっていた。
「・・・な、傑。」
そんな中、Aを姫抱きした五条が駆け寄ってきた夏油に呟く。
「これ俺等、拳骨コース??」
「え、流石にこれは事故で済むんじゃないかな・・・??」
「監督不行届で拳骨じゃない?五条が。」
「なんで俺だけなんだよ」
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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時