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頭に載せられた手が、優しく頭を撫でる。彼の手に付着した血が髪を濡らしたが、Aにとってそれは特に気にするべきことでもなかった。

「・・・もうやりたいことはやったかな。じゃあね、A。」

頭を撫でていた手が、そっと頬に添えられた。
夏油の瞳に、目を見開くAの姿が映る。

「・・・A。」

今まで2人の様子を見守っていた五条に名を呼ばれたAは、その場をゆっくりと離れた。

「悟、Aをよろしくね。」

「っは、これまで()が一人でやってきたっつの。」

「・・・私、もう子供じゃないし。」

そんな、他愛もない会話。

「(・・・もしも、私があの時スグルを止めてれば。
この会話は、続いてたのかな。)」

ぼんやりとした思考の中浮かんだ考えを、Aは頭を振って打ち消した。もしもの話をしたって、現実は変わらない。

・・・今は、この光景から目を逸らしてはいけない。


___ばしゅ。


顔を上げたAは、夏油の最期をしかとその目に焼き付けた。

戻ってきた辺りの音に、Aはそっと目を閉じる。
そうすれば、今までの記憶が瞼の裏に蘇った。




_______

___

_





・・・始まりは、両親の死からだっただろうか。
血の海に倒れ込む両親の姿を、幼いAはその脳に刻んでしまった。

それからは親戚に保護され、あまり良いとは言えない日々を送っていた、が。
そんな生活が嫌になって、遂にAは7歳の頃その家から逃げ出した。

走って走って、息を切らしたAが辿り着いたのは曰く付きの気味が悪い土地。なんでも旧墓地の場所らしく、Aが住んでいた県では有名な心霊スポットだった。

そこで、何も起こらない筈もなく。
そこに住み着いていた一級呪霊により攻撃を受けたAは、その際強く頭を打ち、それ以前の記憶を全て失った。

そうしてやってきたのが、五条と夏油の2人だったのだ。
2人は地面に倒れた虫の息のAを高専へ保護した。

「・・・なあ、こいつずっと目ぇ覚まさねぇけど。」

「傷は私が治したけど・・・。目覚めるまでにはもう少しかかるな。」

そして、それから数日後。五条はベッドに横たわるAを覗き込み、言った。
五条、夏油、家入の3人は来る日も来る日もAを気にし、医務室へ訪れていた。なんと言っても、Aは一般人では有り得ないような呪力を持っていたのだ。

目覚めたらきちんと話を聞かねば。3人は約2週間、放課後に医務室へ通い詰めた。

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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時

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