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その言葉は、一度見たものは忘れることの無いAに対する配慮だろうか。しかし、Aはどんな凄惨な光景でも目に焼き付けるという決意があった。
｢･･･。そっ、か。
･･･でも、目は背けないよ。｣
ぎゅ、と拳を握って、落ちる前髪の隙間からAは五条を見つめた。それに対し、五条はクスリと笑う。
｢･･･それじゃあ、気を取り直して･･･。Aに対して何か言うことはない？｣
｢･･･ある、って言ったら、君は時間をくれるのかい？｣
五条は夏油の言葉に、彼は少し考えてから｢まあちょっとなら？｣と顎に手を当てて言った。
夏油は｢ありがとう｣と礼の言葉を口にした後、此方へ近づいてくるAへ向き直る。
｢･･･こんな形で最期になっちゃって、申し訳ないね。｣
｢･･････ウン。｣
悲しそうに笑った夏油。半身が消え去った彼の命はもうきっと長くない。
Aはその隣に、そっと座り込んだ。
｢でもね、私は自分の信じたものを曲げる気は無い･･･。それが例え、地獄のような道だったとしても私はやり遂げないといけなかった。
･･･でも、Aの後輩は思ってた以上に強かったよ。｣
｢･･･っウン、だって私の後輩だもん。｣
声が震えた。目の辺りがじわりと熱くなる。しかし、Aは涙を必死に堪えた。
夏油はそれに気づいているようだが、言葉を続けた。
｢もし勝ってたら、ちゃんと祝ってあげたかったんだけど、ね。｣
にこりと笑ってポケットを漁り出した夏油の姿を目に捉え、Aは頭にクエスチョンマークを浮かべた。なにか探しているような手つきだ。
そして探し当てたそれを持ち上げた夏油の手に、思わず目を見開いた。
｢誕生日おめでとう。本当は20歳まで見届けたかったんだけど･･･。｣
優しい声と共に、首にかけられたネックレス。それにはAの髪色と同じ、朱色の宝石が嵌め込まれた美しい指輪があった。
嗚咽が漏れそうになる。Aはなんとかそれを押し殺した。目の前がじわりと滲んで、指輪が二重に重なって見える。
Aは流れそうになる涙をゴシゴシとマネージャー用のジャージの袖で拭った。流れる前なら泣いたことには入らないと必死に目元を擦っていれば、大きな手が頭に触れる感覚を覚える。
｢･･･？｣
腕から少し顔を上げて夏油の顔を見つめたAは、其の顔がひどく優しいものとなっているのを見た。
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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます！楽しみに待ってます！！ (2023年3月25日 7時) (
レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です･･･！続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません･･･！続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを･･･！！ (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します！すっごい面白いです！続編が気になってソワソワしてます！更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます！！ (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：raiz | 作成日時：2023年2月25日 21時
