検索窓
今日:58 hit、昨日:78 hit、合計:201,528 hit

86. ページ36

.

「Aちゃん、大丈夫?」

「・・・ぁんり。」

弱々しく己の名前を呼んだAに、帝襟は母性が擽られるような感覚を覚えた。しかしそんな呑気なことを言っている場合ではない、明らかに何時もと違うのだ。
もしかすると、地獄のフィジカルトレーニングのせいだろうか。いや、もしかしなくてもきっとそうだ。

「・・・無理しないでね。明日は私もマネ業参加できると思うから・・・!」

「・・・ウン。」

またも弱々しく返事をしたAの頭を、帝襟はそっと撫でた。
Aは自分のメンタルが回復していくようなその手に、目を細める。暫くそんな時間が続いて、Aは帝襟にとんでもなく心配されながらも自室へ戻った。

「(つかれた・・・。)」

髪を乾かすのも億劫に感じ、Aはそのままベッドへ倒れ込んだ。しかし、体は疲れているのにいつまでたっても寝られない。結局、Aの睡眠時間は3時間ととても短くなってしまった。

・・・そんな日が、何日か続いた。

明らかに何時もと比べて様子がおかしいAに、誰もが心配する言葉をかけた。あの士道が大丈夫かと聞いてきた時は流石のAも驚愕した。
とくに心配の度合いが大きかったのは御影だろうか。とにかく心配され、色々と体調に関して質問された。凪もその様子を心配そうに見ていた。

「(人に恵まれたなぁ。)」

そんなことを考えつつ、通路をコツコツと歩く。選手達も疲れているだろうに、彼等は己のマネージャーの心配をしてくれるのだ。
絵心にも仕事を休んでも構わないと言われたのだが、Aが休めば施設内に呪霊が大量に湧き、選手達の体に無数の呪霊が憑くことになるので流石にそんな地獄絵図は見たくないと断った。

そうしてフィジカルトレーニングも終わり、二次選考の始まり。Aは例の如く絵心のいるモニタールームへと向かっていた。ちなみに既に百鬼夜行の日が近づいているのだが、Aに対しそれに向かえとの指示は降りていない。

「(行きたいけど・・・でも、ここは離れられない。)」

そっと目を閉じ、モニタールームへ繋がる扉を開ける。その先にはモニターを見つめている絵心と、部屋の掃除をする帝襟の姿があった。

「あ、Aちゃん・・・!」

「来たね。」

開いた扉に、2人が振り向く。Aは足音を鳴らして部屋に入ると、絵心が話し始めた。

「さて、二次選考の説明だけど・・・。まあ、一次選考と変わんないね。」

.

87.→←85.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (234 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
793人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。