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そして棟を移動すること実に10回目。
｢マネージャーさん、タオル貰ってもいいですか･･･？｣
そんな選手の言葉に、Aはタオルがわんさか入ったカゴから1枚ふわふわとした手触りのいいそれを彼に手渡した。すると今度は別の場所から声がかかる。
｢Aさん、七星が倒れた！｣
｢うげぇ、もうダメだべ･･･。｣
｢死ぬな七星ぇぇぇ！俺を置いて逝くんじゃねぇ！｣
青い顔をして人口芝の上に倒れ込んだヘアバンドの青年。Aは其方に急行し、目をぐるぐると回している七星の体を抱き起こして壁にもたれさせた。
｢頭がガンガンするぅ･･･。｣
そんな言葉から察するに、運動のしすぎによる頭痛が起こっているらしい。こういう時は水分が不足していることが多い。Aはスポーツドリンクを七星に手渡し、暫く休むように伝えた。
そうして立ち上がれば、やっと落ち着いてきた様子の彼等。取り敢えずこのチームは大丈夫そうだと廊下に出れば、ポケットに入れたスマホから着信音が響いた。
ディスプレイには｢五条｣の文字。Aは応答ボタンをタップしてそれを耳に当てる。聞き慣れた声が、鼓膜を震わせた。
｢もしもし、今大丈夫？伝えておきたいことがあるんだけど･･･。｣
珍しく急ぎの用らしい。何時もとは違う五条の声に、Aは短く｢ウン｣と返した。
･･･その次に、聞こえてきた言葉。Aはその名前に、喉が引き付けられるような感覚に陥った。
｢傑が、高専に来た。｣
その名前は、暫く聞いていなかった名前だ。Aは何時ものように喋ろうとして、失敗した。
はくりと変な息が漏れる。それが聞こえているのかいないのか、五条はまた口を開いた。
｢12月24日に･･･。東京、京都に1000体の呪霊を放つ、所謂･･･百鬼夜行を決行するって。｣
12月、24日。それはAの誕生日だ。あの人も、よく知っているはず。
｢傑の言葉からして、もしかするとそっちにも行くかもしれないから気をつけてね。それじゃ！｣
一方的に切られた電話。Aは取り敢えず今聞いた情報の整理から始めた。
そうしていれば、少しづつ落ち着いてくる。大体の状況を把握したAはふぅっと息を吐いて壁にもたれかかった。暫くそのまま立っていれば、耳に繋がれたインカムから絵心の声が流れ出す。内容はAを少し心配するものと、別の棟にまた吐いた選手がいるからそっちに向かえという指示だった。
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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます！楽しみに待ってます！！ (2023年3月25日 7時) (
レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です･･･！続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません･･･！続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを･･･！！ (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します！すっごい面白いです！続編が気になってソワソワしてます！更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます！！ (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：raiz | 作成日時：2023年2月25日 21時
