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しかし、このまま掘り下げられればボロが出る。Aは会話の流れを変えるため、ドリンクやタオルを渡し始めた。
大人しく「ありがとう」と受け取った潔は、タオルで汗を拭き取る。同じように次々に選手達へタオルやドリンクを渡していけば、ふと千切に呼び止められた。
「・・・なあ。」
「?」
ポツリ。声が届いて、Aは空になったカゴを持ち上げようとする手を止めた。
「俺、お前の言葉通りにやってみることにする。・・・お前と潔のせいでアツくなっちまったんだ、責任取れよな!」
「!・・・ん、ガンバ。」
2人はコツンと拳を合わせ、笑った。
ここからはAの入る幕は殆どない。ここからは彼等で解決する問題だ。取り敢えず、ここは干渉しないでおこう。そう考え、Aはフィールドをあとにした。
「(でも、何か・・・。あの人たちのキレ方は変な気がする。
何時も普通に接してくれてて、でもなのに、なんで急に反抗を・・・?)」
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そして、その日の夜。Aは久遠が何も言わずに逃げていったと聞き、まだ改心してないのかなどと考えつつ真っ直ぐ食堂へ向かっていた。今日はこの棟で食事をしようと思っていたのだ。
すると、食堂の入口にチームZの面々が張り付いて何かをしているのが見えてくる。
「何してんの?」
「っあ、A!見ろよ、あれ・・・。」
声を掛ければ、それに気付いた潔が食堂の中を指さした。
そこには久遠と、Aもよく知る3人の姿。
「・・・あ、レオにセイ、あとツルギも。」
「知ってるんだ!・・・いやまあ、当たり前か。」
そのまま食事内での展開を眺めていれば、御影達は久遠の提案を断ったようだった。
彼等は強い。久遠を使わずとも勝てると見込んでいるのだろう。
そのままぼうっと眺めていれば、何やら御影達の発言に触発されたのか、チームZの面々が食堂へ入っていく。
何か話しているようだが、ここでAが入っていくのはあまりよろしくないだろう。そう考え、そのまま食堂前で待機していれば、間もなくして彼等が戻ってきた。
「クソ、彼奴ら絶対潰してやるかんな・・・!」
「にゃははっ、その意気その意気!」
「(・・・?何言われたんだろ。)」
何やら覚悟に満ちた目で先へ進んでいく彼等を見て、Aは首を傾げる。壁の隙間から出て食堂を覗くと、そこには変わらず御影達の姿があった。
「なんだ彼奴ら・・・。あ、A!」
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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時