検索窓
今日:1 hit、昨日:67 hit、合計:201,538 hit

71. ページ21

.

今更ながらそう気付いたAだったが、過去とはそう簡単に変えられないものだ。

「・・・偶然かな。」

「何言ってんの、今のは絶対必然だって!ね、もっかい!もっかいやろ、A!」

心做しか蜂楽はひどく楽しそうな、嬉しそうな顔をしている気がした。そんな彼の言葉を断れるほど、Aは鬼ではない。

「(仕方ない、ゴリラ系女子設定で行くか。)」

Aは死んだ目をしつつ、駆け寄ってきた潔も入れて3人でサッカーを始めるのだった。


_______
___
__


「ふーんふーんふ〜ん、おーそーうーじーだ〜♪」

とある日の昼下がり。
Aはベートーヴェンの「悲愴」に歌詞をつけ、口ずさみながら掃除機をかけていた。

そんなAに近づく影がひとつ。
その影は殺気の籠った目をぎらぎらと輝かせ、なんだか物騒な雰囲気を纏った赤目の青年。
・・・そう、馬狼 照英だ。

「おいぐるぐる目・・・
ここに思いっきり埃が付いてるじゃねぇかさっさと拭きやがれ!」

そんな彼は一直線にロッカーへ向かったかと思えば、そのロッカーの上の埃を指でつぅっと絡め取り、ダメ出しをしてきた。そこはあとから埃取りで掃除しようと思っていたところだ。

「(シンデレラに出てくる継母みたい・・・。)」

そんなことを思っているうちに、馬狼はつかつかと距離を縮めてきた。
後でやるつもりだったんだよ、と口を開きつつ埃取りを掲げると、馬狼は「どうしてクイックルワイ○ーがないんだ」と掃除用具の束を見て言った。

「絵心に死んでもクイックルワ○パーを買えと頼め。」

「重っ。別に頼めば買ってくれるだろーけど。なんで?」

絵心は基本Aが必要とするものは買ってくれる。Aが頼めばクイックルワ○パーくらいは二つ返事でOKしてくれるだろうが、どうしてそんなにクイックルワ○パーに固執するのだろう?
そう思ったAは純粋な疑問をそのまま口にした。

「そんなの決まってんだろ、クイックルワ○パーは床も高所もあれ1本で済むんだぞ、しかも埃だけじゃなくベタついた汚れまで一気に取れる・・・。そんなん使わない手はないだろぐるぐるアホ毛。」

「へ〜。じゃあ絵心に頼む。」

「そうしろ。キングの言うことは絶対だ。」

「キ・・・??」

・・・翌日、クイックルワ○パーの便利さに感動するAと満足気に頷く馬狼の
姿があったとか無かったとか。

.

72.→←70.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (234 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
793人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。