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今更ながらそう気付いたAだったが、過去とはそう簡単に変えられないものだ。
「・・・偶然かな。」
「何言ってんの、今のは絶対必然だって!ね、もっかい!もっかいやろ、A!」
心做しか蜂楽はひどく楽しそうな、嬉しそうな顔をしている気がした。そんな彼の言葉を断れるほど、Aは鬼ではない。
「(仕方ない、ゴリラ系女子設定で行くか。)」
Aは死んだ目をしつつ、駆け寄ってきた潔も入れて3人でサッカーを始めるのだった。
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「ふーんふーんふ〜ん、おーそーうーじーだ〜♪」
とある日の昼下がり。
Aはベートーヴェンの「悲愴」に歌詞をつけ、口ずさみながら掃除機をかけていた。
そんなAに近づく影がひとつ。
その影は殺気の籠った目をぎらぎらと輝かせ、なんだか物騒な雰囲気を纏った赤目の青年。
・・・そう、馬狼 照英だ。
「おいぐるぐる目・・・
ここに思いっきり埃が付いてるじゃねぇかさっさと拭きやがれ!」
そんな彼は一直線にロッカーへ向かったかと思えば、そのロッカーの上の埃を指でつぅっと絡め取り、ダメ出しをしてきた。そこはあとから埃取りで掃除しようと思っていたところだ。
「(シンデレラに出てくる継母みたい・・・。)」
そんなことを思っているうちに、馬狼はつかつかと距離を縮めてきた。
後でやるつもりだったんだよ、と口を開きつつ埃取りを掲げると、馬狼は「どうしてクイックルワイ○ーがないんだ」と掃除用具の束を見て言った。
「絵心に死んでもクイックルワ○パーを買えと頼め。」
「重っ。別に頼めば買ってくれるだろーけど。なんで?」
絵心は基本Aが必要とするものは買ってくれる。Aが頼めばクイックルワ○パーくらいは二つ返事でOKしてくれるだろうが、どうしてそんなにクイックルワ○パーに固執するのだろう?
そう思ったAは純粋な疑問をそのまま口にした。
「そんなの決まってんだろ、クイックルワ○パーは床も高所もあれ1本で済むんだぞ、しかも埃だけじゃなくベタついた汚れまで一気に取れる・・・。そんなん使わない手はないだろぐるぐるアホ毛。」
「へ〜。じゃあ絵心に頼む。」
「そうしろ。キングの言うことは絶対だ。」
「キ・・・??」
・・・翌日、クイックルワ○パーの便利さに感動するAと満足気に頷く馬狼の
姿があったとか無かったとか。
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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時