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フィールドの上、2人は向き合う。
最初はAのボールから始まるらしい。まあ、サッカー経験のない女子とサッカー選手の男子が戦うのだとしたら、妥当なハンデだろう。
しかし、Aはただのか弱い女子ではない。
「A、いっきマース。」
まるで某ロボットアニメの主人公の様に、Aはぽつりと呟く。
蜂楽はAの姿をしっかりと己の眼に捉えた。片時もAから目を離すことがない様に。
・・・ここで、人間の体についての話をしよう。
人間は、目を守るためにも瞬きをするのが必須だ。
それは女でも男でも変わらない、人間の生理現象。
___ぱちり。
蜂楽の、瞬きの瞬間。
Aは目にも止まらぬ速さで動き出し、蜂楽の後ろへと回った。
とても、人間にできる所業ではない。実際蜂楽は何が起こったのか状況が飲み込めていなかったし、遠くから見ていた潔でさえ何が起こったのか分からなかった。
それも当たり前な話だ。突然、目の前にいた人間が視界から消えた、または信頼しているチームメイトが反応すら出来ずにかわされたとなれば動揺は必然だろう。
ただ、蜂楽もそれくらいで置いていかれる程度の人間ではない。次の瞬間、蜂楽はくるりと後ろへ向いてAに手を伸ばし、行動を阻害した。
「お?」
「何今の・・・!やっぱ居るじゃん、かいぶつ!」
蜂楽の目がぎらりと輝く。不気味に光るソレは、Aが常に見てきた「イカれた目」だ。五条も七海も、呪術師は皆こんなイカれた目をする。
いい具合にイカれてるな、なんてぼうっと考えつつ、Aは身軽にボールを運ぶ。女子ならではの柔軟な体を生かし、蜂楽の行動阻害をかわすとAは猛スピードで走り出した。
・・・なお、猛スピードとは「Aの思う」一般女性の全力疾走の速さだ。
「ッはや・・・!?何コレ、やば!?」
蜂楽はとんでもない速さでボールを運ぶAに必死に食らいついた。しかし、世間を知らないAが捻出した「一般女性の全力疾走の速さ」、(50メートル約5秒)に勝てない。
そのままゴールからの距離約30メートルの超射程で得点を奪られてしまった。
「にゃははっ!やっぱ俺の目、合ってたじゃん♪」
「ん・・・??」
冷や汗をぐし、と拭いつつ言った蜂楽。
そんな彼に、Aは首を傾げた。フィジカル設定を間違えただろうか。・・・というか、一般女性がサッカー選手に勝てるのはまずおかしいのでは?
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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時