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「・・・。邪魔すんなよ。」
相変わらず冷たい声だったが、その言葉にAはほっと息を吐いた。邪魔をするな、ということは邪魔をしない範囲で清掃をしていい、ということだ。声色的にもそう受け取って大丈夫だろう。
そう判断したAは、瞑想をしているらしい彼の近くで掃除機を使うと五月蝿くなってしまうだろうから箒である程度ゴミを取って帰ろうと地面を掃き始める。
糸師は他人に対してかなり冷たい態度をとっている様だが、瞑想やヨガを自発的にしているとは思っていなかった。案外頑張り屋なんだろうかと思いつつ、黙々とゴミを集める。
「・・・ぅし。」
ある程度ゴミも取れたので、それをちりとりで集める。糸師はまだ瞑想を続けているらしい。
取り敢えず邪魔をせずに清掃をするというミッションはコンプリートした訳だし、このまま気づかれないように帰ってしまおうとAは扉を開き、その部屋を後にしようとした。
その時、Aの耳に声が届いた。
「・・・清掃、助かる。」
そんな声にくるりと振り向いたが、糸師は此方を向いていなかった。
「(なんだ、意外と可愛いとこはあるじゃんか。)」
これはツンデレという部類に入るのだろうか。感謝されたのは素直に嬉しいし、初日に罵られたのはチャラにしてやろう。
そう考えたAは少々ほっこりした気持ちで他の部屋の清掃を始めた。
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そしてそんな出来事から時間が経ち、Aが「なにか凄いことを成し遂げる気がする」と評価した潔 世一の居るチームが第二試合を終えた頃。
Aは見事勝利をあげたらしいチームZの部屋を清掃していた。
掃除機を稼働させて隅々まで掃除を進めていると、ふと後ろから声が届く。
「あれ、マネージャーちゃんだ!」
「あ、Aさん。」
声の方を振り向けば、そこに居たのは潔と蜂楽の2人だった。
この2人は最近よく一緒に居るところを見かける。
仲良いな、と薄い感想を持ったAは、蜂楽の手に汚れの着いたサッカーボールが納められていることに気付いた。
「そのボール、もう使わない?使わないなら磨いて仕舞っちゃうけど・・・。」
そんな問いに、蜂楽は少し間を開けてから答えた。
「ん、もう使わないかな。練習ももう終わったし・・・。つか何で俺ここまで持ってきちゃったんだろ。」
「あー、あるよねそういう事。使わない物気付いたら変なとこに持ってきてんの。」
潔は蜂楽の言葉にうんうんと頷く。
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(文字数が・・・。)
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さくちゃん - raizさん» ありがとうございます!楽しみに待ってます!! (2023年3月25日 7時) (レス) id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - 水希さん» コメントありがとうございます、面白いと言っていただけて感無量です・・・!続編はもう少しでできると思います。ソワソワが治まれば() (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
raiz(プロフ) - さくちゃんさん» 返信遅くなり申し訳ありません・・・!続編もう少しでできる予定です、もうしばしお待ちを・・・!! (2023年3月24日 21時) (レス) id: 1aa12f97ac (このIDを非表示/違反報告)
水希(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白いです!続編が気になってソワソワしてます!更新頑張ってください (2023年3月23日 18時) (レス) id: 0489471443 (このIDを非表示/違反報告)
さくちゃん - 続編待ってます!! (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: f6f0c24dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:raiz | 作成日時:2023年2月25日 21時