episode.15 ページ15
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久住「Aちゃん、ちょぉ付きおーてくれへん」
開口一番にAを外へと連れ出した久住。
Aは_いいよぉ、と気だるげに返事をして久住の後をついていく。
外は雨が降っており久住はAに傘を差し出した。
『どこいくの?』
久住「この間のいたずら通報の子ら覚えとる?」
『あー、ナイトクローラーに情報流したやつ?』
久住「せやせや、その子から連絡あってん。
正確にはその先輩っちゅーやつからやけどな?
会いに行くねん、Aちゃんも来るやろ?」
『もちろん』
Aはにっこりと笑って久住の隣を歩く。
とあるビルの非常階段を上がると上から顧客の女の子たちが降りてきたので挨拶をかわし、踊り場へ出ると久住はそこにただすむ少年に声をかけた。
久住「なーりーかーわ君」
成川は久住にとっさに掴みかかった。
成川「てめぇのせいでっ…」
久住「あっ違う違う違う」
『私たちはあなたの陸上部の先輩じゃない』
成川「誰だよ」
2人の作ったドーナツEPにより人生が狂いはじめた少年成川岳。
成川の怒れる表情にAはまた楽しそうな笑みを浮かべた。
久住「大丈夫、俺は君の味方。ほら」
久住が成川に傘を差し出し、それを受け取った成川。
2人は柵に手をかけ街の汚い夜景に大声をだした。
久住「もう全部忘れて楽しもうや」
『そう、自分のことだけ考えて生きればいいんだよ』
久住はポケットから小瓶を出し成川の前で小さく振ってみせ、そんな久住をAは傘に入れてあげた。
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作者名:らい | 作成日時:2024年3月12日 6時