斉木くんとモブの私

28-空助さんとデート4(空助) ページ29

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「…お気持ちは嬉しいですが…私と空助さんは出会って間もないですし、まだお互いのことをちゃんと知り合ってはいないので…付き合うとかそういうのは、本当に相手の中身を知って、好きになってからがいいと思います。

それに…空助さんが、私より楠雄くんのことが好きなのは、見ていてわかりました。…楠雄くんのこと、少しからかいたかっただけなんですよね？
…でも、それなら間違ってると思います。楠雄くんは、私のことなんて、なんとも思っていないから。

もし、ちゃんとお互いもっと中身を知った上で、本当に私のことを好きだって思ってくれたなら、また告白してください。その時はちゃんと、考えます。」


「…ご馳走様でした。」と彼女は荷物を持って立ち上がる。
お会計を既に済ませていることは伝えてあるので、彼女はそのまま店を出ていった。


…僕に残ったのは、僅かな敗北感。

こうすれば女の子はみんな落ちると思っていたのに、振られた。しかも、楠雄のことしか考えていなかったのも、見抜かれた。
自分のことをそこまで見ててくれた人もこれまで居なかったし、凡人に敗北感を感じることもなかった。

…僕と楠雄以外の人間なんて、猿程度にしか思ってなかったけど、あんな人間もいるんだ。

……少し、興味が湧いた。彼女のことをもう少し調べてみても、いいかもしれない。


僕は、ゆっくりと立ち上がり、その場を後にする。



……今度は、また違ったかたちで会いに行こう。こんなやり方じゃなく、ね




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