斉木くんとモブの私

11-才虎くんと私4 ページ12

*



どうしよう……！！
そう思った時、才虎くんの首元でトン、という音がして、才虎くんは私に倒れ込んだ。
気絶しているみたいだ。

ゆっくりと解放された体を起こすと、そこには楠雄くんが立っていた。


ーー……帰るぞ。


そう一言だけ言って、楠雄くんは踵を返す。
えっと…つまり、楠雄くんが助けてくれたってこと…？
私は慌てて後をついていった。

楠雄くんがどこから入ったのか、いつから居たのか、聞かれてたのか、どうしているのか不思議に思ったけれど、私は助けに来てくれたことが嬉しかったので、まぁいっか、と思った。
きっと、聞いても答えてくれないような、そんな気がしたからだ。
そんな細かいことより、何よりも楠雄くんが私を助けに来てくれた、その事実だけで十分だった。



ーーーーー


…やれやれ。危ないところだった。

Aさんが才虎の家に招待されたと聞いて、嫌な予感がしたから千里眼で覗いていたが…見ていて正解だった。まさかこんなことになるとはな。

咄嗟に瞬間移動で助けに行ってしまったので、Aさんに怪しまれてしまうかとも思ったが、結果的に大丈夫だったようで、良かった。

まったく…Aさんにまで言いよるなんて、才虎のやつ、全然懲りてないな。

まぁ、とにかく、Aさんが無事で良かった。

隣で笑う彼女を見て、自分も頬が緩んでいたことに気づき、何だこの感情は、と少し思った。



*

12-照橋さんと私1(夢主)→←10-才虎くんと私3(夢主)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す