happy end ページ19
貴方視点
「A、助けてくれ」
見知らぬ人の家で、私たちはこんなに泣きじゃくって、何をしているのだろう。
ふと、冷静になってしまった。
涙も枯れたように止まる。
目の前で悲願する男がひどく自分勝手に思えた。…ずっと前から。
私がシャオロンを頼ったのも、頼ろうと思ってしまったのも偶然ではない。
ずっと前から私は、思い込んでいたのだ。シャオロンは善い友人だと。
・
私とシャオロンは幼馴染だった。昔はよく外で遊んだものだ。
小学校から高校までずっと一緒。
登下校は別々だし、接点はあるものの友人止まりではあったはず。
結婚すると旧友に報告した時、
必ず「シャオロンが相手かと思った」と言われていたのは、冷やかしだと思っていた。
彼らの視線が表すのは、紛れもなく驚愕。
友人だから、彼らが演技なんてそんな難しいことできないって知ってる。
私がシャオロンと違う大学に行った理由は、シャオロンの熱情に薄く気付いていたから。
しかし真正面から「恋人がいるからごめんなさい」だなんて言えない。
そんなの、勘違いも甚だしい。
言えるわけがないのだ。
彼とは仲が良かったが、年柄年中くっついていたわけではない。
取り残されたのは、以前仲が良かったという証を持った、ただのご近所さん。
高校になって接点も少なくなったあの時。
仲違いがあれば、取り返すことはできないと思ってた。…逃げてしまった。
しかし私は、なぜあんなにも悲観的だったのか？
なぜ自分が全て悪いと、シャオロンをまだ好いていると思っていたのか？
『シャオロン、ねえ』
味気ない自分の声が、嗚咽混じりのこの空間に溶けてゆく。
“天国”だなんて妄言、どうだっていい。…これは遅すぎる正当防衛だ！
私はシャオロン片付けきれていなかった、“ガラスの破片”を持って彼に突きつける。
彼は私の腕を掴み、涙で顔を濡らしながらも、
軽やかに……そして焦ったように私を組み敷いた。
彼が私の触れられることを驚く暇などない。そうだ、そうじゃないか。
「お、おい」
『あんだけ×してほしいってほざいてたのに、結局生きたいんじゃんか。
ずるいよ、あなたばっかりっ！！』
しまったと言いたげに、シャオロンは顔をゆがめる。
何でそんな顔するの、今までのは演技だったって言いたげに。
『シャオロンが言ったんだよ。私の手で…って』
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花氷 ベタ(プロフ) - 夢野さん、感想ありがとうございます！ (2022年7月16日 16時) (
レス) id: 728b26bf44 (このIDを非表示/違反報告)
夢野(プロフ) - うわあ好き(？)これからも更新めちゃくちゃ楽しみにしてます！！！ (2022年7月16日 15時) (レス) id: 078c74bdad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年7月16日 14時
