お手伝い【天喰×心操×相澤】 ページ3
貴方視点
「Aさん、お願いがあるんだけど、」
そういい話しかけてきたのは、同じクラスの環くん。
何となく内容は想像できるが、試しに聞いてみようか。
『どうしたの、また雑用断れなかった？』
「う、うん。一年生にプリント配布するんだけど……うう」
3年生…中でもビッグ3は校内でも圧倒的な影響力を持つ。
だから頼み事など、教師の願いを聞くことが多い。
…今回は環くんの人見知りを治す為だと思うけれど。
『担任や先生に渡したら？』
「それが全員じゃなくて、各クラスの1、2人だけだから…迷惑かなって」
『そうだったんだ。いいよ、一緒に行こうか！』
人探しなら私が校内で一番向いていると言ってもいい。
と言っても個性のせいで“顔と名前”を覚えなければいけないからだけど。
もし見つからなくても校内放送で一発だから、何とかなるだろう。
…おっと、廊下に出ただけで、環くんは真っ青だ。
私に行くのはA組にB組、そしてC組。
まずは近くのC組からにしようと、環くんは言った。
「プリントはAさんが渡してくれないかな……」
『いいけど、ちゃんと最後までついてきてね』
「あ、ありがとう」
そう話しながら私の背中に隠れて歩く彼が、滅茶苦茶強いだなんて、道ゆく一年生は知らないだろう。
戦闘訓練楽しみだな、と思いながら私と環くんは1年C組に着いた。
「ひぃ、Aさん後ろかして」
『もう貸してるって……あ、急にごめんね。プリント届けに来たの。渡してもいい？』
近くの女の子にそう聞くと「はい！」といい私からプリントを貰った。
うーん良い子、今年も豊作だったのだろう。
ちなみに環くんはもう縮み上がってしまっていた。
その視線はただ1人に固定されている。
紫色の男の子、心操くんに。
私たちを穴が開くほど見つめる彼。
目が合うと、忌々しげに口を開いた。
「俺たちに何か用ですか？」
『プリントを渡しに来たの』
「……本当に、それだけですか」
そういい彼は少し下を向いた。顔は曇っている。
周りの人はもう私たちから視線を外していて、彼の一言は空気に溶けていった。
「ヒーロー科が、馬鹿にしにきたんでしょう」
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作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年10月1日 18時
