潜入調査【トガヒミコ＋茶毘】 ページ12
＊ねつ造設定があります
今日は実践試験の一つでもある、潜入調査をする日。
私が任されたのはヴィランの“拠点を知り、情報を抜き取る”というものだった。
おかしいのは分かっている。
いくらヒーローに近い3年生の私たちだとしても、この難易度の高さは異常だろう。
皆んなでだったら分かるのだが……今回は私1人だけ。
しかしこの試験を落とすと、大体はヒーローの資格がないとして除籍される。
もちろん、確実では無い。
しかし私はこの理由で去っていった先輩を、何度も見てきた。
これに関しては先週死柄木にしたことと同じだった。
この調査は私含め「雄英生」の情報がどれほど盗まれているのかを知ることも含まれている。
私はプロヒーローの個性で顔や体型、声帯など全てを＜別人＞に変形させ、
ヴィランのいる場所に向かった。
今回の相手は“トガヒミコ”
私と歳はそう変わらない、女の子。
話すのは20分程度だとしてもやはり緊張する。
意を決して、私は彼女に声をかけた。
『えっと……ご、ごめんなさい。道に迷ってしまって……』
「ん？わぁ、貴方カァイイですね！どこからきたんですか？」
彼女はよく緑屋根の喫茶店にいる。今日もその玄関でしゃがみながら空を眺めていた。
この喫茶店は夜、バーとしてヴィランの取引先と名を変え賑わっている。
ヘマはできない。
この中にいるのは一般人に扮したヴィランである可能性が高いんだ。
外見を幼い少女にして良かった。警戒は解けている。
質問に対し、さらに質問で返され戸惑ったが、私はゆっくりこう答えた。
『少し遠くの街から、お買い物に来たんです。……〇〇ショッピングモールに行きたくて』
「へえーいいですね！じゃあ一緒に行きましょうよ！」
この返事は予想外だった。
本来は道を教えてくれたという「お礼」で何処かの店に入るつもりだったのだが……
運がいい。
私が『お願いします』と言おうとすると、
「おい、何勝手に返事してるんだ」
口に大きなマスクをつけた男が、私と彼女の間に割って入った。
その上から顔上部を覆い尽くすような、大きなフード。
それは彼が日にあたれない存在であることを意味していた。
足首につけられた振動から、ヒーローたちの指示を聞く。
＜そいつはヴィラン連合の「茶毘」だ。
危険すぎる、丁寧に対処してくれ＞
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作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年10月1日 18時
