新2章ー復讐大会、始動ー璢弧side ページ46
人間とは面倒くさいものだ。
自分の思い通りにならなかったら怒って、ワガママが通らなかったら怒って、ちょっとした事で泣く。
いつだって自分一番で、他人なんて二の次。他人優先を掲げていても、命の危険となれば喜んで他人を捧げる。
それは、俺だって同じだ。
ごりごり。ぶちぶちぶちぶちぶち。ずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅ。
身体の髄に届くような大轟音が聞こえた。
熱い。焼け付くみたいな痛みが、熱さとともに襲ってくる。
たたん、ととん。
たたん、ととん。
たたん、ととん。
ゆるりとした揺れを感じて、今座っている場所が電車であると分かる。
椅子は固くて、スプリンクは全く効いていない。
シャボン玉みたいに不明瞭な、透明な光。
キラキラと輝いている。
『次は、【八十神蘭】。【八十神蘭】でーす』
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ。ぬちゅぬちゃぬちょ。ぐちゃぐちゃぐちゃ。
音源はどこにも見えない。180度見渡しても、誰もいない。
どこかから寒気がした。
がきん、と音がした。
それは、進行方向から逆から聞こえてきた。
好奇心から立ち上がって、俺はいつこの電車に乗ったのか、という事に気付いた。
まあいい。そんな細かい事はどうでもいいのだ。
ふわふわと足が浮いているみたいに、くっきりとした感覚がない。
音のした方向に歩み出す。
ぷしゅっと音がして、扉が開いた。
そして、扉の向こう側にあった光景に目を疑った。
赤赤赤赤赤青赤赤赤赤赤。一面の赤の中に、ポツンと青色が浮かんでいた。
青色は、ゆっくりと振り向いた。
目元は赤色の仮面でかくされている。しかし、体躯の幼さから俺と同い年くらいだろうと推測できる。そして、髪の色は抜けるような青色で、腰まである。その髪は下の方で結われていて、動くたびに楽しそうにふわふわと揺れる。
?「あ、やっと来た!」
にこにこと笑っている。
その口角の歪み方には見覚えがあった。
?「やっと目覚めてくれた、俺も退屈してたとこだよ」
その手には、大きな鉈が握られていた。
?「ただ無駄なだけの作業の繰り返し。でもめでたく、それもお終いだ」
君のおかげだよ、と付け足されて困惑する。
霧みたいな赤いのがふわふわしてるみたいだ。
何となく恐怖と違和感を感じた。
そしてきびすを返して走り出した。
?「あれ、また俺を焦らすの? もしかして俺と遊びたいの? あーきっとそうだね! だったら君の望み叶えてあげる!」
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作者名:早苗 | 作成日時:2016年10月22日 14時