死のゲームとオトモダチ～loopline～【オリジナル】 (ページ37)

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御手休めー師走の度に思い出すーNOside ページ37

雪がちらちら窓の外を無彩色に染め上げるのを見て、リスか何かのように大量の菓子パンを頬張りながら、緑園百香は、「もう冬かぁ」とどこか寂しげに呟いた。
彼女にとって、クリスマス・イヴは最大の戦場であり最高のチャンスだった。
夢か現かも分からない、電飾が彩る風景に、少しドキドキしながら口の中のメロンパンをごくんと飲み込んだ。

先にも言ったとおり、百香にとってクリスマス・イヴは最高のチャンスで最大の戦場だ。
なぜなら、次の朝起きた時には枕元にプレゼントが置かれているからだ。
このころから、百香はプレゼントが今年も貰えるのか気が気でなくなり、出きるだけ純粋ないい子を気取り、サンタさんという名前を借りた深香川天皇を待ち焦がれるのだ。
そして何より、クリスマスパーティの名を借りた「戦場」……そう、大量に置かれたスウィーツや、豪勢なチキン、可愛らしくデコレーションされたクリスマスツリー形の砂糖菓子………それは、百香にとってはとにかくきらびやかで、とにかく素晴らしい、とにかくブラボーなものだった。
しかし、新品の金具をいつか錆びついてやがてその役目を果たさなくなるのと同じように、百香もいつかは大人になり、クリスマスプレゼントを貰えなくなり、パーティで除け者にされるような日がくるのだ。
当然だ。いつかは子供は大人になり、老いてゆく日がくるのだ。
それこそマリアのような魔女や、ミシェルのような天使、澪やユグドラシルのような神格化した精霊でも無い限り、時の流れに逆らって生き続ける事は出来ない。
しかし百香は魔女になるなんてまっぴら御免だし、天使や精霊になることはできない。
結局、人間は魔女にでもならない限り、永遠に若いままでいられるはずがないのだ。
だから百香は、その【大人になる日】を少しでも先送りにしようと、今日からクリスマス・イヴの日までは、百香は天使のように清らかな心で過ごす必要があるのだ＿＿。

と、ここまで長々しい前口上をはさんだが、今年は【純粋で清らかな大天使・緑園百香】を演じるつもりは全くない。
なぜなら今年はマリアという超強力な助っ人がいるからだ。
もうプランは練ってある、あとは実行のみ。
百香は、一人くくくとほくそ笑んだ。

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これからは、月の最初の方と記念日、あと気分でこういうショートストーリーを入れていく予定です。
次はクリスマスの予定です。次の講演をどうかお楽しみに。