新2章ー復讐大会、始動ー蒼羅side ページ31
あたまが、いたい。
こえが、でない。
めのまえには、はくはつの、しょうじょ。
「わたし」に、よくにている。でも、ちがう。
だって、「わたし」は、
こんなにこわいめを、しない。
蒼(…………ここは?)
真っ白で、何もない空間。
例えるなら、海。上も下もない、深海。真っ白な海。
蒼(…………あれは)
手を伸ばせば届きそうなぐらいに近い。でも、まるでその先は別の世界だと強調するような一寸の狂いもない彫刻のような顔。
近くて、遠い。
その先に、白髪の少女が立っていた。
青灰色の目をした、白糸の髪をした少女。
絶対零度の、まるで生ゴミか何かでも見るような、軽蔑するような顔でこちらを見ていた。
その少女は、やがて、私にそっくりな声音で告げた。
唐突に。突然に。瞬間的に。
そして、私の喉を撫でた。
少女の「見損なったよ」という声が、私の耳に入る。
彼女の、すべすべした指が、私の喉を撫でる。
たったそれだけの動作で、私は動けなくなった。
…………………冷たい。
氷でできた彫刻みたいに、温度を感じない。
少女は、私の顔に自分の顔を近づける。
……わたしの顔と、怖いくらいに似ている。
ほぅっと彼女の吐く息が私にかかる。
それさえ冷たくて、童話だかなんだったかの、触れると氷漬けになって死ぬ雪女の息を想像させる。
少女「ウソツキ」
彼女は、白い無地のドレスを着ていた。
白糸の髪は結わずに下ろしていた。
彼女は、「おんな」だった。
少女「…………分からないのか?」
ねぇ、なんでそんなに悲しそうな顔をするの?
少女「………分からないんだね。『わたし』の事が」
無彩色だけで創られたような、精巧な人形の少女。
それは、本物の「人形」だった。
少女「……君は、覚えていない。でも、『わたし』だけは覚えている。理不尽じゃないか、そんなの」
彼女は空に向かって手を伸ばした。
少女「悲しいだけなのに。こんな記憶消えてしまえばいいのに。でも、忘れられない。忘れたい。せめて」
私の頬に手を触れた。
冷たい。
やっぱり、この手は氷か何かで出来ているんじゃないか、と思わせる程度には。
そのビーズの瞳から、一粒の涙がこぼれ落ちた。
熱のない、冷たい涙。私の足元に吸い込まれていく。
その手だけが、私の体を彼女の元に繋ぎ止めているみたいに。
少女「『私』も思い出してよ」
悲嘆な叫びが満ちる。
手を伸ばせば届きそうな、脆く儚い人形。
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作者名:早苗 | 作成日時:2016年10月22日 14時