新2章・陰ー寝食するのは昏い闇ーリミィside ページ30
わたし達は、二人で一つ。
昏い昏い、紫色の魔女。
リミィ＝ネイキッド。そう。もともとわたし達は「リミィ」だった。
だから、今日からわたし達は、「昏坂柚月」………「くらさかゆつき」になる。
小さな光の弓を腰に携えた。
くるくる、と半分氷半分炎の矢……通称「負炎氷」を回す。
そして、それを弓にセットする。
そして、それを「上」に向けて打ち込んだ。
リミ「………いるんだろ、『パンドラ』」
？「あら、気付かれてたかしら？」
上手く隠れたつもりだったのに、と声が聞こえた。
狂気の瞳の魔法を発動する。
空を睨むが、そこには何もない。
なら。
リミ「………リミィマジック・ファースト。『色食みの天使』(いろはみのてんし)」
その瞬間。
赤青以外の「色」がなくなる。
赤と青だけの世界。
しかし、これは準備段階に過ぎない。
リミ「………リミィマジック・セカンド。『時喰いの門番』(ときくいのもんばん)」
時が、止まる。
正確には、わたし達以外のすべての「瞬間」を、この手の中に閉じ込めた。
そして、次の準備。
リミ「………リミィマジック・サード。『音召しの車掌』(おとめしのしゃしょう)」
音が、消えた。
わたし達の声だけが、虚しくこだまする。
響くだけ。
そして、最後のマジック。
リミ「…………………リミィマジック・フォース。『双子の魔女の狂気の目』」
わたし達を中心に、狂気色の波紋が広がった。
人から人に伝播して、狂気の循環は終わらない。
奇跡と、永遠と、色無の夜。
それは、音無くして訪れる。
？「わぁっ☆ すっごい魔法☆ パンドラちゃん、そういうの好きよぉ？」
狂気は、人から人に伝播する。
永遠に終わらない悪循環。
だけど、パンドラが「人じゃない」としたら？
「人」から「人じゃない者」には伝播しない、としたら？
＿＿＿リミィの、とっておきの、狂気の魔法が使えない？
？「でもね」
？「もう、おしまい☆」
その瞬間、目の前の水の鏡が現れた。
紫色に染まった、わたし達の瞳は、幼い眼下を刺した。
そう、「狂気の瞳を見た者は、狂気に染まってしまうのだ」。
それは当然、わたし達にも当てはまるワケで。
リミ「…………ァ………ヵ……？」
声が出ない。
怖い。水の鏡は、わたしじゃないソレを映しているみたいに見えて。
リミ「………………ェ………ァ………」
手を伸ばしても届かなくて、でも、届きたくて。
？「死ね、出来損ないのアバズレ魔女」
体さえ、壊れた。
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作者名：早苗 | 作成日時：2016年10月22日 14時
