死のゲームとオトモダチ～loopline～【オリジナル】 (ページ26)

今日:14 hit、昨日:5 hit、合計:1,220 hit

新2章・陰ー惜しみない憎しみを込めてー澪side ページ26

ポタポタと水が滴り落ちる。
わたしはその一つを掬い取った。
そして……………『呑んだ』。
わたしの身体の一部。強ささえも滴り落ちている気がしたから。
そして、そのまま流れ作業のように空中で一回転して、「そちら」に大量の水を送り込んだ、瞬間に感じたのは強い悪寒だった。
最小の動きで、鼻先を掠めたそれを避けた。
澪「……………大禍？」
しかし、彼は答えなかった。
黒い札がわたしの後ろで弾けた。

身体が、厄に蝕まれている。
黒ずんだ体を新しい水の膜で覆い隠す。
このままじゃ防戦一方だ、そう思って手を振り上げた。
愛されてるし、愛してる。
違う。わたしを愛してくれる人なんているはずがないのに。
暗い。目の前が、視界が、じわじわ寝食される。黒く、暗く、なし崩しみたいに。
ぐらりと回った気がした。しかし、きっと気のせいなのだろう。
まるで、格の違いとやらを教え込まれたみたいに。ぐじゅぐじゅに崩れて、ボロボロになるのだろう。
黒い粒が転がり落ちる。
無意味な口伝ての災厄論は、輪廻転生して、また、もとの場所に戻る。
澪「貴方は、誰よ」
？「失敬ね、わたしは八開ことりよ」
違う。ことりはこんな黒い影じゃない。
神様を妬んだような、どす黒い顔した少女じゃない。
澪「ねぇ、貴方はわたしに勝ってくれるのかしら」
勝利を収めて、わたしの心さえ、でろでろのババロアみたいに溶かしてくれるのかしら。
おっと、これは失礼。
本当は、負ける気なんて少しもないのにね？
手をゆっくりと振り上げた。
澪「結界………『零』」
水のような、ソレの結界を張る。
ソレは、ゆっくりと膜のようにわたしを包み込む。
この、安心感。まるで、乳房に抱かれている乳飲み子のように、自分を確かめる事が出来る。わたしに安心を与えてくれる。おっと、与えて「くれた」ですね。
つい、微笑みが漏れてしまう。
今、この「瞬間」。
わたしは、覚醒する。
ふわぁっと浮き上がる。
目が青色に染まる。
白い輪郭に縁取られた、半透明な体。
澪「偽者の八開ことり、覚悟しろ」
わたしは、手をそちらに向けた。
？「わたしは『本物の』八開ことりなのにねぇ……まぁいいわ。ブッ潰してあげるぅ☆」
気持ちが高揚したみたいに、彼女は揺らめいた。
そして、わたしは水の杖を手にとった。
澪「いざ、勝負」
ことりっぽいのも、黒色の杖を出した。
二人は同時に駆け出した。