新1章・陰ーmaria the time of moon clockーマリアside ページ41
緋色の月が、私の胸元で輝いている。
ポタポタと毒の雫を落として、ボコボコと泡立ち骨の槍を生成する。
その槍を握り、それで空を割く。
割かれた空は、ボタボタと黒い雫を垂らして、やがて塞がれる。
ここは、どこだったか? 覚えていない。
その槍ごと、体を貫いてしまいたいけれど、そんな事しても死ねない事は分かっている。
ポケットの中の時計をいじくると、時間は巻き戻りを始める。
そして、「うっ」とうめき声を上げると、ゆっくりと倒れていく者を見ていた。
大体、ミシェルが悪いのだ。
ミシェルが私を永劫の囚われ人にしようとするから。
魔女は永遠の時を生きる。
置いてかれるのは、私なのに。
『もう、【跪け、さすれば道は開かれん】なんて言って神様ごっこするのは飽きたんだ』
『【懺悔して、悔い改めよ】って見下すのはもう嫌なんだ』
『【僕は、カミサマじゃないから】』
時計は、カチコチと鳴り響いている。
月は、キラキラと輝いている。
魔女を照らして、輝いている。
そして、意識ごと時計の中に引きずり込まれる。
闇を照らす、月の光は見ていた。
茶色の髪の少女が、時計の中に吸い込まれていくのを。
マ「………ここは」
?「ようこそ魔女の楽園へ」
目の前には、黒い影が立っていた。
?「さぁアリス。宴を始めましょう」
マ「私はアリスじゃないわよ」
何よこれ、不思議の国のアリス?
鏡の国の方ではないだろうし。
?「いいえ、私がアリスというのだからあなたはアリスよ」
イラつくわぁ。
うなじをかきむしって苛立ちを紛らわせる。
マ「いいえ、私はマリア。アリスじゃないわ」
?「そうかしら? ここではあなたはアリスよ。異論は認めない」
もう何を言っても無駄だと悟る。
そして、「はいはいわたしはアリスですよ」と適当に受け答えておいて周りを見渡す。
ファンシー。まるで童話の世界そのもの。
?「じゃあ」
影は笑った。ような気がした。
?「行きましょう」
その瞬間、意識は途絶えた。
?「…………ん、………ちゃん、星奈ちゃん!」
大声で目を覚ました。
頭が痛い。
キーン、と耳鳴りが聞こえる。
ク1「大丈夫?」
私は、何を?
全く覚えていない。
たしか………底の無い殺意、視線、恐怖に怯えるがごとく、自分の中に眠る衝動が暴れだして……………覚えていない。
ク1「いきなり倒れたから………あ、帰りの会始まるよ」
私はゆっくりと立ち上がった。
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作者名:早苗 | 作成日時:2016年9月19日 9時