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新1章ー絶望的な世界ー蒼羅side ページ27

百香と別れてから2分くらい立ったころ、悲劇は、絶叫と共に現れた。
?「いやぁぁあぁ!?」
私は、とっさに防衛本能で、マリアから貰っていたソレを頚動脈に差し込む。
すると、『ラブニードル・発動』という機械質な声がした。
チクリと痛みが走って、力が漲る。
遠くで、焦げたような茶色が見えた。
あれは、茜? 危ないかもしれないし、一緒に逃げようかな?
YES、よし茜にも『ラブニードル』とやらを刺して………。
…………ん?
とっさに後ろに飛ぶと、鼻先をシャーペンが掠めた。
いや、違う、待ち針がシャー芯の代わりに待ち針が入っている、待ち針シャーペンだ。
そして、こんなものを使うのは、私の知る限りでは一人しかいない。
蒼「それ、基本投げるんじゃなかったのかい?」
余裕の笑みを浮かべて、茜を見つめた。
茜「……………」
蒼「まぁいいや。茜と戦う気はないよ。私はさっさと行かせてもらうよ」
敵意の無い事を伝えて、背中を向けた。
そして、ヒュ、という音が聞こえると、私は立ち止まった。
蒼「何のつもりだい? 茜。敵意は無いって言ったよな?」
喉元には、待ち針シャーペンが突きつけられていて、首筋には、おそらく茜の歯が突きつけられているのだろう、あれ、何かこんな展開見た事ある気がする。
茜「は、ると」
茜は私を晴斗だと勘違いされていたのか?
だとしたらとんだ屈辱だ。あんなバカなチューリップと一緒にされるなど………。
蒼「は? 私は蒼羅だ。ついでに、もう私もつかれたので、帰らせてもらう」
接近していたため、比較的簡単にキックが当てられた。
その衝撃で茜が少し吹っ飛んだので、時止めを使って茜の動きを止め、簡単に応急手当てして、そのまま学校から離れた。
ちなみに止めてる間に見たのだが、学校は酷い有様だった。
噛み殺された生徒、溶けた壁、枯れた植物。
こんな事、前にもあったような……気のせいか?
そして、家について、時止めを解除した。
部屋に入って、解読途中の例の本を読もうとして、ベッドに百香が寝ているのに気付いた。
蒼「は?」
思わず声が漏れたが、酷い怪我をしていたようなので、とりあえず手当てをして、寝かせておくことにした。



そして、何時間立ったか数えるのも面倒になった頃。
?「わっ!」
蒼「うわぁぁあぁぁ!?」
これだ。
傷は完全に癒えていて、一瞬何が起こったのか分からなかったが、数秒遅れて百香が起きたのだと悟った。
そしてその後、この事を話す事になるとは思わなかった。

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作者名:早苗 | 作成日時:2016年9月19日 9時

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