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6章ー戻ってきた日常ー茜side ページ23

苗「………ぁ、茜、ちゃん」
苗がふらふらしながらこっちにきた。
瞳には光は無く、まるで操られているオートマタのように、私の前に立って、一呼吸置いてから私を見据えた。
苗「ヒロ、と、神姫、を、見な、かった?」
息も切れ切れで聞いてきた。
そういえば、さっきヒロ先輩からも同じような事聞かれたっけ。
………何となく。何となくだけれど、この件、マイカ先輩が関わっている気がする。
だって、こういう事には大体マイカ先輩が関わってるもん。
茜「神姫先輩は知りませんが、ヒロ先輩はさっきあっちに行きましたよ」
私は手で向こう側を指す。
苗「そ、う。あり、が、とう」
…………さすがにおかしいし、後を付けてみようかな?
苗「………?」
気づかれないように、こそこそしている。
さすがに気が付かれる事は無いだろう。
苗「あ、さく、ら、み、や、ひろ」
苗の虚ろな目が見つめる先には、桜宮ヒロ先輩がいた。
頬は紅潮していて、熱っぽい。
先程より明らかに症状が酷くなっている、ヒロ先輩、ついでに苗。
ヒ「あ、ぅ、にゃ、にゃぇ………」
噛みながら、苗の方を見つめる。
そこで何事かを呟くと、二人は分かれた。
苗の方についていく。やっぱり気づかれない。
苗「…………ん、ぐ……ま、か………せ、ぱ……」
もはや途切れすぎて、何を言っているのかすら分からない。
まかせぱ? ………ああ、マイカ先輩か。
私は、一応念のために待ち針シャーペンを構えておく。
苗「………た、す、け、て…………」
僅かに聞き取れた断片は、助けを乞う声だった。
その瞬間、だった。
空から光が降りたと思うと、苗先輩は消えていた。
唯一残っていたのは、苗先輩の、四葉のクローバーの髪飾りだった。
それを手に取る。
茜「これ、間違いなく苗先輩の髪飾りだわ。ピンの部分に『藍崎苗』って書いてある」
?「それ、返してくれます?」
目の前に、マイカ先輩が立っていた。
茜「あなたに返す義理はありません。苗先輩に直接渡します」
舞「死んだよ」
茜「は?」
唐突に、何を言い出すんだこのバカは。
舞「『貴方の知ってる藍崎苗』は死んだ。『今存在する藍崎苗』は、桜宮ヒロと瀧野神姫しか目に移ってないわ。私の特製の惚れ薬のおかげでね」
マイカ先輩は、手の平を差し出して、髪飾りを求める。
私は、一瞬唇を噛んで、すかさず言い返す。
茜「私は『今存在する苗先輩』を見ていません。見せてください。『その苗先輩』を」
すると、一瞬だけ笑ったのが見えて、意識は深い闇の中___。

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作者名:早苗 | 作成日時:2016年9月19日 9時

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