死のゲームとオトモダチ～magic～【オリジナル】 (ページ20)

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裏6章ーリミィ・ネイキッドとアシュリー＝ハーツクイーンーリミィside ページ20

包丁を握り締めた。
包丁には、氷と炎がまとわりついている。
頬が紅潮する。
興奮して、息が荒くなる。
数十ｍ先には、わたし達の仇が移っている。
許せない、「唯一王女」、その王女であるアシュリー＝ハーツクイーン。
元々は「ライン何たら＝ハーツクイーン」ってヤツが香主だったらしいが、わたし達の知る事ではない。
そして、もう片方の手で電話を握り締めて、相手の電話番号にかける。
数コール後にアシュリーは出た。
『もしもし？』
リミ「わたし………リミィさん」
『は？くだらないいたずら電話はやめなよ』
リミ「今………あなたの」
『だから何なんだよ！もう切るよ！？』
リミ「後ろにいるの」
わたし達は包丁を振り上げた。
しかし、それは真剣白刃取りもビックリのスピードで受け止められた。
ア「君が『リミィさん』かい？」
わたし達は何も答えなかった。
ア「じゃあそう仮定して考えるよ」
目の前の女を睨んだ。
ア「まだそんなに小さいのに包丁なんて振り回しちゃいけないよ」
リミ「子供ではない。リミィ・ネイキッド。１００年以上生きている魔女だ」
女は吹き出して声をあげて笑った。
ア「嘘はいけないよ。どう見ても5歳くらいだ」
目を伏せた。
ア「どうしたんだい？」
ゆっくりと顔を見てきた。
その瞬間、わたし達も顔を上げて目を合わせた。
ア「！？」
わたしの目には少し細工がしてある。
魔女でも、リリィとミリィだけに使える魔法。

目を合わせるだけで、相手を発狂させる魔法。

ア「あ…………ガ…………ェ………？」
声を発さない。
恐怖に陥れる。
アシュリーの、元々は緑色だった目が、徐々に赤く染まっていく。
自然に口元に笑みが零れる。
舌なめずりをして、アシュリーを見つめる。
リミ「ダメだよなぁ……証拠もなしに人を疑っちゃ」
奪られていた包丁が、からんと落ちた。
その包丁を握り締めて、アシュリーの顎を上げる。
ア「な………ア…………ひ…………」
可愛くも見えてきて、微笑んでみる。
リミ「くく、ほら、包丁だよ。本当はこれで背中を掻っ捌いて公開オペを始める予定だったんだがな」
ゆっくりと包丁を喉にあてる。
そして、精一杯の笑顔を浮かべた。精一杯愛らしく、精一杯憎しみを込めて。
最後に、それで喉元を掻っ捌いた。
返り血がかかる。
何ともいえない達成感を感じて、元来た道を引き返した。