死のゲームとオトモダチ【オリジナル】 (ページ23)

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2章ーゲームの幕開けーベルゼside ページ23

かゆいかゆいかゆいかゆい
腕が、脚が、全身がかゆい。

アレから感覚で時間を数え始めたが、10分を過ぎたころに虚しさを感じるだけだと気づきやめた。
しかし、かゆみがそれを上回る苛立ちを感じさせ、全身をかきむしりたい衝動を必死に堪えていた。
ハニエルは帰ってこない。ラファも帰ってこない。
絶望を待つ待機時間。
苛々するが、それを必死に抑える。
そうでもしないと、私の髪が＿＿＿。
　『残り魂 3 2 1 0個ご冥福をお祈り致します』
聞こえてきたのは死刑執行の鐘の音と、
パキッ
死刑宣告を告げる合図。
そこに書かれた名前は、
　【ベルゼ】
分かりやすい黒い字で書かれたそれが、真っ赤な真っ紅な血の様に見えた。
針金が外れる。
逃げられない。
『今回はボーナスゲームでーす♪ふふふっ』
「マリア」の声が響く。
そして、今更気付くんだ。

　・・・・・・・・・・・・・・・・
＿＿この声がどこから聞こえているのか。

右目が痒くてしかたない。
でも、掻かない。
だって、そんな事をしたら。
皆、皆＿＿＿＿。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お母さんと一緒の所に逝ってしまうから。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

エレベーターの内部に着く。
着いてしまう。
それは、運命。
お母さんが死んじゃったのも運命。
お父さんがいないのも、運命。
私が「今」、生きているのも＿＿＿。
運命？
私が「これから」死ぬかもしれないのは＿＿＿＿。
運命？それとも、偶然？
この世に、「偶然」なんて無いはずだ。
全て、定められた道筋を定められた通りに歩くだけ。
例えるなら、演劇か、機械の様に。
歯車が、決められた役割以外をしないように。
既に決まっていた役を演じるように。
全て、全て運命だった。
私が口出し出来ない「運命」。
でも、でも。
せめて足掻きに足掻いて死んでいこうじゃん。
イラついたので、赤く染まったリストバンド越しに傷を抉り、湧き上がる「何か」を必死に堪えた。