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2章ーゲームの幕開けーラファside残り魂 2個 ページ18

ラ「っはっはっ」
何度も浅い呼吸を繰り返す。
逃げる。
逃げろ。
後ろにはマネキンと……少女が。
走っている最中では顔などロクに見えない。ただ分かるのは、その少女がキャラメルの様な色の三つ編みを揺らしている事だけだ。
こうなった理由はおそらく、「あの時」のせいだろう。
  〜回想 10分前〜
普通に、自然に歩く。
マネキンの視界に入らないように。でも、極自然に。
カードを、もぎとった。その瞬間、頭の中にバチバチっと電流が流れた。
足のつま先から、頭のてっぺんまで。
まるで、雷が直撃したように。
何か……何かを思い出しそうだけど。
頭の中で、別の何かが抵抗している。やめて、思い出したくない、って。
ラ「うぅっ」
二度目の呻き声をあげ、頭を抑えてかがみこむ。
やがて、まるで何かに乗っ取られたように体が一瞬重くなり、それから頭の中が熱くて冷たくなった。
ラ「い……かな……きゃ」
一瞬だけ見た鏡に写った私の瞳に、光があるわけもなかった。

ラ「つ……いた……」
適当に、右端の窪みにカードを差し込む。
チーン、と音が鳴る。
  [残り魂 1個]

……意識が、現実に引き戻らないはずがなかった。
目醒めない瞳ははっと見開かれていた。
ぱっと開かれた瞳孔に光る瞳は少し赤みが差していた。

ラ「……あはは」

あぁ、もし、この部屋にこびり付いた血はストロベリーソースだったら。あの鏡にまで飛び散った肉塊がクッキーの欠片だったら。あの、徘徊する屍が砂糖細工のお人形さんだったら、いったいどれだけよかったことか。
なんとも愚かな事に、そこから一歩下がってしまったんだ。
そしてマネキンの視界に入ってしまって……
  [残り魂 0個 ご冥福をお祈り致します]
嫌だ。こんな所で死にたくない。
漂う絶望は私の枷になる。
チーン。
隣の扉が開いて。
そこから出てきたのは。
紛れもない、間違えるはずもない。
ーーーだった。
マ?「ご冥福をお祈り致しーます♪」

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作者名:早苗 | 作成日時:2016年3月25日 14時

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