refrain (ページ2)

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your side

「めちゃくちゃ見てくるから誰かと思った」
「すみません、いや私も驚いて」

私より背の高い彼の顔を見上げる。
まるで昔に戻ったような空気感に包まれ、なんだか泣きたくなった。

「先生は今日学校じゃないんですか」
「今日は振り返り休日でこれからゆっくり出勤」

七分に括った白いワイシャツの袖。
ネクタイは締めずに一つ開けた第一ボタン。
何もかもが変わっていなくて本当に彼なのだと実感する。

「桜木は大学？」
「はい。そろそろ遅れそうなところです」
「え、ごめんね足止めちゃって。頑張って」

ひらひらと彼が手を振りながら遠ざかる。
その刹那、すがるような気持ちが沸きあがった。
とめどなく、それは溢れた。

気が付けば、彼の手首を握りしめていた。

「先生、また会えますか」

そう問うと、彼は微笑んだ。
あの日みたく。

「うん、会えるよ」

右手から力を抜き、そっと彼が離れた。

私は去っていくその後ろ姿を眺めることなく前を向き直した。