雨の日の忘れ物 (緑)

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A「…ねぇ」





神山「ん？」





A「どうして ともくんは
私の “ 昔 ” を知ってるの？」









神山「…」









A「ともくんは
前から 私のこと 知ってたの？」









神山「…」









何も答えないともくん。









A「ともくんは…一体…誰、なの？」







これを聞いてしまったら
ともくんが 私のそばから いなくなってしまうんじゃないか、って。





そう思っていたから聞けなかったけど。






知りすぎてて怖い。








私のことを
私よりも 知っている ともくんが怖い。









私は ともくんのことを 何も知らないのに。





どうして ともくんは
私のことを そんなにも 知ってるの…？








・








神山「俺、？ は 俺…やけど？」





そう言って笑ったともくん。





A「…そういうことを 聞いてるんじゃなくて…。

ちゃんと、答えて？」









今まで避けてきたこの話。





何度話そうとしても逸らされ続けてきた。





でも、今回は 逸らさせない。





ちゃんと、あなたがいったい誰なのか、
私は 知りたいの。









神山「…」





A「ともくん…」





そっと ともくんの手に触れると、
ぎゅっと握り返してきて。









神山「…いつかは、
話さなあかんな、って思っててん。」





小さくそう呟いて





神山「ちゃんと話す。話すから。


…信じてもらえへんかもしれんけど、
これからする話は全部、ほんまの話やから。

ちゃんと最後まで、聞いてくれるか…？」






まっすぐ 私を見つめた。






A「…うん」









覚悟は 決めてある。









どんな話でも 受け入れる覚悟は できてるよ…。









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