第200話 ページ50
数秒間の間
何回か瞬きした彼女はそっと口を開く
呼吸をすると冷たい空気がスーッと気管を通っていく
『……っます…』
「…うん？」
『…信じますって言ったら…？』
彼女は、俺が頬に触れていた手に手を重ねそう答えた
『…信じますって言ったら、江口さんは信じてくれますか？』
きゅっと口を結ぶ
「…なんで、そんなに信じてくれるの？」
『それは…』
斜めを上をみてうーんっと考えて
『…なんとなく、ですかね！』
ってニッと笑った
「…なにそれぇ〜」
『女の勘は馬鹿にしちゃだめですよ〜』
『それに…江口さん、嘘下手くそだから』
「そんな分かりやすい？」
『ええ、とっても』
くすくすってまた笑う
嗚呼、この笑顔が俺はすごく好き
『…あらためて、江口さん』
「うん」
彼女は重ねていた手を解くと、俺の前に手を伸ばす
『…よろしく…お願いします、私の彼氏さん』
そう言って握手を求めてきた
「…こちらこそ、よろしくお願いします…俺の彼女さん」
『ふふっ……って、うわあっ』
握手をした手をそのまま引いて、お互いに立ち上がる
「…帰ろっ」
1人っきりで帰るはずだった道
また君の手に指を絡めて繋ぐ
「…“俺ら”の家に帰ろう」
『…はい』
夜道に月明かりで伸びた2つの影は、
気がついたらピッタリとくっついて大きなひとつの影になっていた
『…約束、本当に守ってくれましたね』
「うん？…っと、おっ…っと」
トン、トン、トン、とまるで小鳥が跳ねるように俺の数歩前に行った彼女は、振り返る
手を繋いだままだったから、彼女にひかれて、俺は不器用なリズムの足音を刻んだ
『私のうさぎさん、約束を守ってくれてありがとう』
『私を連れ出してくれてありがとう』
そう彼女は振り返って俺に言った
「…どっちがうさぎさんだろうね」
『どういうこと？』
「こっちの話〜」
月明かりに輝いた栗色の髪の毛は、まるで綺麗な毛並みの夢で見た三月うさぎと一緒で、ふわりと風で靡く
…なんともまぁ、恥ずかしいことをたまに君はサラッと言うから、ほんと…
「…本当に困る」
『…え？』
「いいや、なんでもない」
…また、君に恋をするから
こんなに苦しくなるのも正直うんざり
こんな恋愛、するつもりなんてなかった
する予定なんてなかったから
…だけど、でも
俺は二度目の恋をした
俺の事を忘れた君に
俺に探してと言う君に
また君に恋をする──────────
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雅 - eriiiさん、いつもありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。良かったらBGM素敵なやつを脳内再生しながら読んで頂けたら笑^^*引き続き、続きもよろしくお願い致します。 (2021年4月24日 22時) (
レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、素敵な感想ありがとうございます。今日更新しましたので、続きもぜひよろしければ^^*そう言って下さりとても嬉しいです。頑張りますね^^* (2021年4月24日 22時) (レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - きゃー！！ドラマだったらここで絶対主題歌が流れて、次週に持ち越しの展開ですね！←読んでてめっちゃにやにやしちゃいました(*^^*) (2021年4月24日 6時) (レス) id: 5892b12f93 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 夢主ちゃんの場所は、江口さんの隣だと感じてほしい。そして、いつも雅さんの素敵な書き方に感動しています。続きも頑張って下さい！ (2021年4月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様でした。ドキドキしながら読んでいきました。お互い想い合っているのになぁ…と思いながら、でも夢主ちゃんが何を感じで江口さんに駆け寄った時には胸にきました。全部思い出してないかもしれないけど (2021年4月23日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年3月28日 0時
